高山良二

『地雷処理という仕事 カンボジアの村の復興記』
ちくまプリマ−新書132、2010年3月

1980年代を通して内戦が続いていたカンボジアでは、国連が1993年に統一選挙を準備し、ようやく戦闘が終息しました。日本の自衛隊は、その準備に必要な平和維持活動の一部を担当しました。著者は、その一員としてカンボジアに触れた経験に突き動かされ、2002年の退職後に再びカンボジアへ戻り、地雷除去の専門知識を生かして草の根の平和構築と村社会の復興に取り組んでいます。地雷が残した多くの問題だけでなく、等身大の人間と人間の付き合いに支えられた国際協力の生き生きとした魅力を伝えます。国際協力に関心を持つ方には、『カンボジアに村を作った日本人:世界から注目される自然環境再生プロジェクト』(森本喜久夫著、白水社、2015年)も手に取ることを勧めます。