2013年8月-9月メンバー動向
2013年8月13日~:アブラヤシ小農調査ほか
加藤・祖田は8月13日にBintulu入りし、ビントゥル・オフィスで打ち合わせを行ったうえで、14日からTubau周辺の小農アブラヤシ栽培の調査を行った。具体的には、14~18日はKeresa社周辺のIban集落で、小農世帯と都市居住者との経済的・社会的関係性を中心に聞き取りを行った。都市住民のアブラヤシ栽培への関与は非常に多様であり、農村-都市関係が複雑化していることが分かった。また、最近では、都市の華人商店主らがIban集落の土地やアブラヤシそのものを「貸借」する形で、農村地域のアブラヤシ栽培に参入しつつある実態が見られた。アブラヤシ小農調査の一環としての土地利用調査(予備調査)については、Jason Honと共同で行った。土地利用図作製のための詳細調査は、2013年11月以降に実施予定である。
8月18日は、ビントゥル・オフィスに戻ってデータの整理を行うと同時に、それまでBintulu各地で水質調査・魚類調査を行ってきた徳地・福島・鹿野・鮫島や、翌日から植生調査でJelalongに行く竹内・Bibian(SFCスタッフ)らと情報交換を行った。
8月19~20日は、加藤・祖田の2名で、Miri-Bintulu Road沿いのいくつかの集落と、Bakun Road沿いのKayan集落、Kenyah集落で若干の調査を行った。これは、Tubau周辺のIban集落のアブラヤシ栽培を相対化するのが目的であった。ほかの地域や民族集団でも、アブラヤシ栽培は始まっており、Tubau周辺のIbanが特殊事例でないことは明らかだが、地域や民族によって、栽培の開始時期や、栽培方法にばらつきがあることも分かった。今後の比較検討が必要になるものと思われる。Kenyahの集落では、コメやキャッサバとの複数年次にわたっての混裁も見られ、インドネシアのプカランガン的土地利用との比較可能性も見いだされた。
8月20日の夕刻は、ビントゥル・オフィスでデータ整理を行うと同時に、動物胃石の流通に関する調査を行っている奥野・市川哲らと情報を交換した。
2013年8月21日~:河川地形調査ほか
加藤は21日から数日間、Tatau周辺でLugatの親族ネットワークや言語使用状況に関する調査を行い、その後Belaga/Kakusに移動して、Sihan集落での人類学的調査を実施した(9月3日まで)。
祖田は8月21日にMiriに入って目代と合流し、Baram川のLong Ekang周辺、Rajang川のSibu~Song周辺、Sadong川のBuloh地区周辺での河川調査を行った。2013年3月に設置した河岸モニタリング用カメラのデータを回収し、バッテリー交換を行うと同時に、いくつかの地点で地形測量も行った。3~7月の撮影期間中は乾季にあたり、住民の説明によると、今年は特に乾燥していたとのことで、河川水量の増減については、カメラ映像でも大きな変化は見られなかったが、部分的には水位変化と地形変化の関係性が記録できていた。
Sadong川、Kuchingでの調査は、Logie Seman(元・森林局/河川局スタッフ)の協力を得た。目代・祖田は、25日にKuching近郊での地形観察を行ったあと、目代は帰国、祖田はBintuluに向かった。
2013年8月25日~:集落移動・生業変化調査ほか
25日の夜に、石川・祖田がBintulu入りし、Daniel Chew・鮫島と打ち合わせを行った。26日朝には、Kuchingか らJasonが合流した。26~27日は、石川・Jason・祖田でJelalong川のKebuluにあるRh.Ayingを訪問し、すでに現地で調査を進めていた竹内・鹿野・Bibian(SFCスタッフ)らと合流した。竹内・Bibianの設定した植生調査のプロットを視察したうえで、ロングハウス住民にpulau(残存林)の履歴や土地利用についての聞き取り調査を行い、pulauの概念や利用方法に多様なバリエーションがあることを確認した。
この間、Danielは単独でBintulu~Tatauを往復しつつ、かつての主要な華人トレーダーやその関係者などを訪問し、20世紀後半以降のKemena川やTatau川流域の森林産物交易の実態と変化についての聞き取り調査を行った。
28日から、鹿野・JasonはUlu Anapへと向かい、最上流域において、数日間の魚類調査を行った。石川・祖田は、28日はBintuluに滞在し、データ整理を兼ねた休息日とした。29日にはKuchingからLogieが合流して翌日以降の調査打ち合わせを行ったうえで、30日から9月1日まで、陸路でJelalong川上流を移動しつつ聞き取り調査を行った。多くの住民が、川沿いのロングハウスから、伐採道路沿いのlangkau(出作り小屋)へと生活・生業の中心を移していることを鑑みて、その現状や背景を調べることが目的であった。移動の背景には、生活の利便性確保 や、アブラヤシ栽培の導入、土地の権利主張といった、さまざまな理由があることが分かったが、土地の境界設定や小農-企業関係については詳細不明の部分も多く、継続的調査が必要と思われる。
9月2日は、Bintulu在住のJelalong出身者に聞き取りを行ったほか、土地法に詳しい関係者に話を聞くなど、Bintuluの都市部で活動した。3日はビントゥル・オフィスでデータ整理・NL原稿執筆などを行った。
2013年9月4日~
4日にKuchingからRashid・Jayl・今井が合流した。4日以降の数日間で、この3名と石川による調査が行われた。具体的には、Rh.Resa、Rh.Assan、Kpg.Yohなど、いくつかのPenan集落やPunan集落を訪問して、民族混淆状況に関する現地調査を実施したほか、Rh.JulaihiやKpg. Penan Batu 10などの集落から、村長や古老たちをビントゥル・オフィスに招いて、聞き取りを行った。
Logieと祖田は、4日午後にKuchingに行き、各種地図を購入したり、関係者・機関を訪問したりするなど、補足的な調査活動を行った。祖田は9月5日に帰路についた。
加藤・祖田は8月13日にBintulu入りし、ビントゥル・オフィスで打ち合わせを行ったうえで、14日からTubau周辺の小農アブラヤシ栽培の調査を行った。具体的には、14~18日はKeresa社周辺のIban集落で、小農世帯と都市居住者との経済的・社会的関係性を中心に聞き取りを行った。都市住民のアブラヤシ栽培への関与は非常に多様であり、農村-都市関係が複雑化していることが分かった。また、最近では、都市の華人商店主らがIban集落の土地やアブラヤシそのものを「貸借」する形で、農村地域のアブラヤシ栽培に参入しつつある実態が見られた。アブラヤシ小農調査の一環としての土地利用調査(予備調査)については、Jason Honと共同で行った。土地利用図作製のための詳細調査は、2013年11月以降に実施予定である。
8月18日は、ビントゥル・オフィスに戻ってデータの整理を行うと同時に、それまでBintulu各地で水質調査・魚類調査を行ってきた徳地・福島・鹿野・鮫島や、翌日から植生調査でJelalongに行く竹内・Bibian(SFCスタッフ)らと情報交換を行った。
8月19~20日は、加藤・祖田の2名で、Miri-Bintulu Road沿いのいくつかの集落と、Bakun Road沿いのKayan集落、Kenyah集落で若干の調査を行った。これは、Tubau周辺のIban集落のアブラヤシ栽培を相対化するのが目的であった。ほかの地域や民族集団でも、アブラヤシ栽培は始まっており、Tubau周辺のIbanが特殊事例でないことは明らかだが、地域や民族によって、栽培の開始時期や、栽培方法にばらつきがあることも分かった。今後の比較検討が必要になるものと思われる。Kenyahの集落では、コメやキャッサバとの複数年次にわたっての混裁も見られ、インドネシアのプカランガン的土地利用との比較可能性も見いだされた。
8月20日の夕刻は、ビントゥル・オフィスでデータ整理を行うと同時に、動物胃石の流通に関する調査を行っている奥野・市川哲らと情報を交換した。
2013年8月21日~:河川地形調査ほか
加藤は21日から数日間、Tatau周辺でLugatの親族ネットワークや言語使用状況に関する調査を行い、その後Belaga/Kakusに移動して、Sihan集落での人類学的調査を実施した(9月3日まで)。
祖田は8月21日にMiriに入って目代と合流し、Baram川のLong Ekang周辺、Rajang川のSibu~Song周辺、Sadong川のBuloh地区周辺での河川調査を行った。2013年3月に設置した河岸モニタリング用カメラのデータを回収し、バッテリー交換を行うと同時に、いくつかの地点で地形測量も行った。3~7月の撮影期間中は乾季にあたり、住民の説明によると、今年は特に乾燥していたとのことで、河川水量の増減については、カメラ映像でも大きな変化は見られなかったが、部分的には水位変化と地形変化の関係性が記録できていた。
Sadong川、Kuchingでの調査は、Logie Seman(元・森林局/河川局スタッフ)の協力を得た。目代・祖田は、25日にKuching近郊での地形観察を行ったあと、目代は帰国、祖田はBintuluに向かった。
2013年8月25日~:集落移動・生業変化調査ほか
25日の夜に、石川・祖田がBintulu入りし、Daniel Chew・鮫島と打ち合わせを行った。26日朝には、Kuchingか らJasonが合流した。26~27日は、石川・Jason・祖田でJelalong川のKebuluにあるRh.Ayingを訪問し、すでに現地で調査を進めていた竹内・鹿野・Bibian(SFCスタッフ)らと合流した。竹内・Bibianの設定した植生調査のプロットを視察したうえで、ロングハウス住民にpulau(残存林)の履歴や土地利用についての聞き取り調査を行い、pulauの概念や利用方法に多様なバリエーションがあることを確認した。
この間、Danielは単独でBintulu~Tatauを往復しつつ、かつての主要な華人トレーダーやその関係者などを訪問し、20世紀後半以降のKemena川やTatau川流域の森林産物交易の実態と変化についての聞き取り調査を行った。
28日から、鹿野・JasonはUlu Anapへと向かい、最上流域において、数日間の魚類調査を行った。石川・祖田は、28日はBintuluに滞在し、データ整理を兼ねた休息日とした。29日にはKuchingからLogieが合流して翌日以降の調査打ち合わせを行ったうえで、30日から9月1日まで、陸路でJelalong川上流を移動しつつ聞き取り調査を行った。多くの住民が、川沿いのロングハウスから、伐採道路沿いのlangkau(出作り小屋)へと生活・生業の中心を移していることを鑑みて、その現状や背景を調べることが目的であった。移動の背景には、生活の利便性確保 や、アブラヤシ栽培の導入、土地の権利主張といった、さまざまな理由があることが分かったが、土地の境界設定や小農-企業関係については詳細不明の部分も多く、継続的調査が必要と思われる。
9月2日は、Bintulu在住のJelalong出身者に聞き取りを行ったほか、土地法に詳しい関係者に話を聞くなど、Bintuluの都市部で活動した。3日はビントゥル・オフィスでデータ整理・NL原稿執筆などを行った。
2013年9月4日~
4日にKuchingからRashid・Jayl・今井が合流した。4日以降の数日間で、この3名と石川による調査が行われた。具体的には、Rh.Resa、Rh.Assan、Kpg.Yohなど、いくつかのPenan集落やPunan集落を訪問して、民族混淆状況に関する現地調査を実施したほか、Rh.JulaihiやKpg. Penan Batu 10などの集落から、村長や古老たちをビントゥル・オフィスに招いて、聞き取りを行った。
Logieと祖田は、4日午後にKuchingに行き、各種地図を購入したり、関係者・機関を訪問したりするなど、補足的な調査活動を行った。祖田は9月5日に帰路についた。