2014年1月~2月: プロジェクトメンバー活動報告
2014年1月29日~2月7日:プロジェクトメンバー活動報告
今回、短い期間ではあったが、石川登、小林篤史、祖田亮次の3名でアブラヤシ・プランテーションおよび森林産物交易に関する視察と調査を行った。今回は中国新年と重なったため、思うように動けない部分もあったが、一定の成果が得られた。
石川、小林、祖田はそれぞれ別経路でサラワク入りしたが、2014年1月30日にビントゥル・オフィスに集合して打ち合わせを行った後、ビントゥル郊外の天然ガス・プラントやスクウォッター地区などを視察した。
31日はSOPB(Sarawak Oil Palm Board)のプランテーションで働くインドネシア人労働者に対して、聞き取りを行った。今回は、トゥバウのSOPBが持つ3つの地区のうち、第2地区の労働者宿舎を訪問した。そこには約400人の労働者が居住しており、ほとんどがスラウェシ出身のブギスで占められていた。イスラム礼拝所(スラウ)やサッカー場、セパタクロー・コートなどが設備されており、近隣のイバンが経営する雑貨店もある。他の地区の労働者の民族構成は分かっていないが、近年ではスラウェシ出身者の数が増加していると多くの人が語っていた。これは、SOPBの労働者に限ったことなのか、他のプランテーションでも同様の傾向にあるのか、もしインドネシア人労働者の「ブギス化」あるいは「スラウェシ化」がという現象が進んでいるとすれば、その要因や背景は何なのか、今後詳しく調べる必要がある。
2月1~2日は、インドネシア人を雇用しているアブラヤシ小農、およびその労働者に聞き取りを行った。今回は、スラウェシ出身のブギスとマカッサル、西カリマンタン出身のサンバス・マレーとビダユ(ジャゴイ)の労働者から話を聞くことができた。非正規で就労するインドネシア人が、どのようにマレーシアに入国し、仕事を探し、帰国/再入国するのかは、最初の就業先や職種、出身地などによって、さまざまな方法とルートがあることを確認できた。これらについても、今後、事例の蓄積を進めていきたい。
2月2日の午後は、いったんビントゥルに戻り、すでに現地入りしていた竹内やよい氏の案内でカンポン・バルの近くにあるラタン工場の見学を行った。
2月3~4日は、ジュラロン川支流クブル川沿いのルマ・ジュソンにおける竹内氏の植生調査を視察した。竹内氏がSFC(Sarawak Forestry Cooperation)のスタッフと調査を行っていたプラオ(村の保存林)は、ロングハウスから徒歩で20分程度の場所で水源林となっている場所であった。プナン/イバンの混成村であるルマ・ジュソンは、石川・祖田が昨年8月に行ったランカオ(出作り小屋)調査においても重要な事例であったため、今回はロングハウスで補足的な情報収集を行うこともできた。
2月5日は、小林・祖田はクチンのサラワク統計局やサラワク博物館古文書部署、サラワク州立図書館などで若干の資料収集を行い、石川はビントゥルでUNIMAS(Universiti Malaysia Sarawak)のジャイル・ランゴブ氏やアンドリュー・アエリア氏らと研究打ち合わせを行った。2月6日は、石川・祖田がジェイソン・ホン氏とともにSOPPOA(Sarawak Oil Palm Plantation Owners Association)のメルビン・ゴー氏を訪問し、サラワクのアブラヤシ・プランテーション産業に関する情報交換を行った。