東南アジア、とりわけタイの仏教と歴史研究に人生を捧げた石井米雄。1963年に誕生した京都大学東南アジア研究センターを世界的に例をみない地域研究の機関へと育てた。京都で東南アジア地域研究がはじまってから半世紀、いくつもの理論や仮説が生まれた。地域に根ざし、現地語を駆使して、文理協働で地域研究を行うことの重要性を説いた石井米雄が、東南アジア地域研究の過去と現在を熱く語る。
石井米雄、27歳でタイ王国へ。1958年4月13日ワット・ボーウォンニウェートで得度した。出家の中で毎日綴った日記から、タイの僧侶の生活や戒律がうかがえる。在タイ日本大使館での勤務をへて、京都大学東南アジア研究センターへ。東南アジア地域研究へと展開した石井米雄の激動の人生を紹介する。
1929年10月東京都にて誕生した石井米雄。1955年東京外国語大学中退の後、外務省に入省し、在タイ日本大使館アジア局に勤務。1965年京都大学助教授(東南アジア研究センター)となり、1967年同教授に昇任した。1985年から5年間、京都大学東南アジア研究センター所長を務めた。1990年に上智大学にうつり、1993年上智大学アジア文化研究所長、1997年神田外語大学長を経て、2004年同学長を退任。2001年国立公文書館アジア歴史資料センター長となり2010年まで務めた。また、2004年から4年間大学共同利用機関法人人間文化研究機構長を務めた。
この間、タイ王国白象3等勲章(1987年)、福岡アジア文化賞(1994年)、紫綬褒章(1995年)、国際交流基金賞(2000年)、文化功労者顕彰(2000年)、大同生命地域研究賞(2002年)、瑞宝重光章(2008年)を受賞した。
石井米雄が生み出した著作は、120点を超える。石井米雄編『タイ国―ひとつの稲作社会』創文社(1975年)、石井米雄著『上座部仏教の政治社会学―国教の構造』創文社(1975年)、石井米雄・吉川利治『日・タイ交流六〇〇年史』講談社(1987年)、石井米雄著『タイ近世史研究序説』(1999年)、石井米雄編『岩波講座東南アジア史第3巻』(2001年)、石井米雄著『道は、ひらける―タイ研究の五〇年』めこん(2003年)など多数。
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