教育

さくらサイエンスプログラム(Sakura Exchange Program in Science)によるカンボジア人若手研究者招聘事業を実施しました。(2014年11月9日〜18日)

美山町へのフィールドリップ

美山町へのフィールドリップ

カンボジアの若手研究者10名を京都および仙台に招へいし、地雷被災地の開発計画に関するワークショップを開催しました。この事業は、科学技術振興機構(JST)の「日本・アジア青少年サイエンス交流事業 さくらサイエンスプラン」を用いて実施されました。王立プノンペン大学(Royal University of Phnom Penh)、王立農業大学(Royal University of Agriculture)、王立工科大学(Institute of Technology of Cambodia)の3つの機関に所属するカンボジア人若手大学講師・大学院生の10名が、11月9日から18日まで10日間にわたって日本に滞在し、Mobile Workshop on “Integrated Development Planning of Land-mine Infested Area in Cambodia”に参加しました。

参加者の専門は、開発学、開発経済、コミュニティ開発、土壌学、農学、自然資源管理、電気、土木工学など多岐にわたっていました。カンボジアは、近年著しい経済発展を遂げていますが、カンボジア=タイ国境地域を中心に地雷被災地が残されています。本事業を通して、参加者は、日本の科学技術開発の現場と農村社会の実態に触れると同時に、カンボジアの地雷被災地の将来の開発計画について学際的な視点から議論を深めました。

参加者の一団は、京都に到着後、まず東南アジア研究所の豊富な資料を活用して東南アジア地域で進む開発のトレンドについて理解を深めました。また、英語で行われる遠隔ビデオ授業に参加し、日本人学生と交流しました。さらに、東南アジア研究所の安藤和雄准教授から日本農村の過疎化問題について講義を受けました。京都滞在の最終日は、フィールドトリップとして、京都府北部の美山町を訪問しました。美山町では、伝統的な日本農村の景観と生活技術、過疎化が進む中でのコミュニティ活動の維持、日本の農産物流通の実態などについて理解を深めました。

一行は京都で5日間を過ごした後、仙台に向かいました。途中、東京で日本科学未来館に立ち寄り、日本の最先端の科学技術に関する見聞を深めました。

仙台では、東北大学東北アジア研究センターの佐藤源之教授をカウンターパートとして講義を受けました。初日の午前中は、災害科学国際研究所の源栄正人教授から、東日本大震災の地震発生のメカニズムと被害の概要について講義を受けました。次いで、佐藤源之教授による地雷探知技術の開発に関する講義を受け、カンボジアで今も続く地雷除去に関する技術とその応用の課題について意見交換しました。さらに、Magaly Koch客員教授によるリモートセンシング技術の環境研究への応用に関する講義にも参加しました。翌日は、午前中に、東北アジア研究センターの高橋一徳助教から金属探知の理論と応用に関する講義を受けた後、佐藤研究室の実験室で、実物の地雷探知機を用いたデモンストレーションを行いました。

大学での講義の後は、南三陸町を中心とした東日本大震災の被災地を訪問し、地震および津波の災害の実態とその後終わりなく現在も続く復興の現状について視察を行いました。さらに、最終日には、佐藤教授が仙台市青葉区熊ヶ根の広陵中学校で行った出前授業に同行し、カンボジアの国と社会を学生に紹介しました。広陵中学校では、生徒と共に給食をいただき、日本の教育の現場に関する理解を深める良い機会となりました。

以上の事業については、参加者が提出するレポートをもとに、報告書を刊行する予定です。

 

 

  • 東北大学災害国際研究所の源阪教授の講義

    東北大学災害国際研究所の源阪教授の講義

  • 東北大学東北アジア研究センター佐藤教授の講義

    東北大学東北アジア研究センター佐藤教授の講義

  • 東北大学での地雷探知機のデモンストレーション

    東北大学での地雷探知機のデモンストレーション

  • 南三陸町の被災地訪問

    南三陸町の被災地訪問

  • 仙台市青葉区熊ヶ根の広陵中学校での交流

    仙台市青葉区熊ヶ根の広陵中学校での交流

  • 仙台市青葉区熊ヶ根の広陵中学校での全体写真

    仙台市青葉区熊ヶ根の広陵中学校での全体写真

 

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