研究概要・特徴

京都大学稲盛財団記念館

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概要

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京都大学東南アジア研究所は、東南アジアおよびその周辺地域を総合的に研究することを目的として設立された特色ある研究組織です。

本研究所の研究活動は、自然科学を含む点で、人文科学とくに人類学や政治学を中心とする欧米の地域研究とは異なる特色をもっています。自然環境の現状と変遷を視野にいれ、変動する地域を総合的に捉えると同時に、関連学問分野との連携のもとに、新しい問題群に取り組み、既成の学問分野を越えた新しい知の枠組みを作り上げようとしています。しかしながら、総合的といっても、基本的には地域の内在的理解にまず取り組まねばなりません。そのためには微視的な分析・解析的な研究の積み重ねが不可欠です。一方、グローバリゼーションの渦中にあってアセアンとしての地域統合を進めている東南アジアを、地域間比較や俯瞰的・総合的な研究手法を通じて理解する必要性も高まっています。それゆえ所員一同、様々なアプローチを比較・検討しながら、世界に類を見ない地域研究の推進に鋭意努力しています。

 

沿革

頻繁に開催される各種セミナー

頻繁に開催される各種セミナー

東南アジア研究所の前身である東南アジア研究センターは、1963年に学内措置で設置され、1965年に東南アジア地域を総合的に研究する全国初の研究センターとして官制化されました。設立以来、国内および外国人客員部門を含む研究部門の充実と図書室や編集室、海外連絡事務所(バンコクおよびジャカルタ)等の研究支援機能の強化に努めてきました。2004年4月には附置研究所となり、東南アジア研究所として再出発しました。さらに2010年4月からは共同利用・共同研究拠点「東南アジア研究の国際共同研究拠点」としての役割を担っています。また、京都大学における大学院教育にも積極的に取り組んでいます。1981年度からは農学研究科・熱帯農学専攻において、1993年度からは人間・環境学研究科・第二専攻(文化・地域環境学専攻)において、そして1998年度からはアジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻において協力講座を担当してきました。

 

大規模プロジェクト

グローバルGCOEプログラムの成果出版物

GCOEプログラムの成果出版物

東南アジア研究所は数々の大型研究プロジェクトを実施し、東南アジア研究や地域研究の新たな展望を開くべく努力を重ねてきました。文部省重点領域研究「総合的地域研究の手法確立-世界と地域の共存のパラダイムを求めて」(1993〜96年度)では、それまで個別に推進されてきた世界の諸地域を対象とした地域研究を組織的につなぎ、地域間比較を試みました。文部科学省特別推進研究(COE)「アジア・アフリカにおける地域編成-原型・変容・転成」(1998〜 2002年度)では、地域研究における世界的な中核研究拠点としての基盤を整備しました。21世紀COEプログラム「世界を先導する統合的地域研究拠点の形成」(2002 〜06年度)では、東南アジア各地にフィールドステーションを設置し、若手研究者の人材育成体制を整備しました。そしてグローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」(2007~11年度)では、より幅広い文理融合の視点から21世紀の人類社会が直面する環境やエネルギー問題に取り組む持続型生存基盤論を提唱し、その成果を『講座 生存基盤論』(全6巻、京都大学学術出版会)として刊行しました。この成果を引き継いだ特別経費事業「東南アジアにおける持続型生存基盤研究」(2011~2016年度)では、東南アジアの多元共生社会とバイオマス社会に焦点を当てた研究を推進し、国際的に卓越した教育研究拠点の充実を目指しています。現在のアンバランスな政治・経済のグローバル化と地球環境問題を克服するために、東南アジアの特性に即して蓄積されてきた「地域の知」を活用した研究教育を展開し、持続型生存基盤を東アジア学術共同体構想を支える理念として強化します。

 

情報発信

京都大学東南アジア研究所が発行する出版物

京都大学東南アジア研究所が発行する出版物:和文・英文学術誌、叢書等

東南アジア研究所におけるさまざまな研究活動の成果は、研究所が刊行する出版物を通じて発表されています。1963年創刊の学術誌『東南アジア研究』(2011年まで年4回、2012年から年2回刊行)は、レフェリー制度のもとに国内外の研究成果を掲載しています。英文での成果発信を強化するために、2012年には英文学術誌Southeast Asian Studiesを創刊しました(年3回刊行)。また、東南アジア地域研究の発展に寄与するオリジナルな学術研究の発表の場として、『東南アジア研究叢書』(和文、英文)、『地域研究叢書』(和文、英文)、Kyoto CSEAS Series on Asian Studies(英文)を刊行しています。さらに、2002年には、日本語・英語と東南アジア諸言語(タイ語、インドネシア語、タガログ語)による、東南アジア地域に関する最新情報をレヴューするオンライン・ジャーナルKyoto Review of Southeast Asiaを創刊しました。さらに年に2回発行されるニューズレターに当研究所に滞在する外国人研究員やその他の研究者の最先端の研究情報や東南アジア発のニュースなども掲載しています。

 

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