所長からのメッセージ

河野 泰之(こうの やすゆき)

河野 泰之(こうの やすゆき)

2014年4月に、清水展さんから所長を引き継ぎました。

東南アジア研究所は2015年に設立50周年を迎えます。この節目に所長を務めることを誉れに思うと同時に、その重責に身も心も引き締まる思いです。

この50年間の東南アジア研究所の歩みを振り返ると、フィールドワークに立脚した学際研究により東南アジア社会の今日的課題に迫るという設立当初からの理念を堅持しつつも、東南アジア社会の動態や学術研究の発展を見究めて、また、国内外からの当研究所に対するニーズや期待を真摯に受け止めて、機動力を持って成長してきました。先達たちが築き上げてこられた確固たる原則と柔軟な運営というよき伝統を継承し、当研究所を世界で勝負する東南アジア研究の拠点としてさらに発展させていきたいと考えています。

東南アジア研究は、今、節目にさしかかっています。東南アジアを理解するための東南アジア研究から、東南アジアのリアリティに立脚して人類社会の進むべき道や生存基盤を強化する指針を示す研究への展開です。自然を制御しつつも自然がもつ巨大な潜在力を生かすためには何をしていけばよいのか、多様な文化や宗教が共存する社会をいかにして構築するのか、国家や市場の権限と住民やコミュニティの自発的な力をいかに接合して成長するのかといった課題に直面しているのは、東南アジア社会だけではありません。世界各地が直面しています。東南アジアの現場で蓄積したファクトとそこで磨いた理論や思考を突破口に、これらの課題に取り組んでいきたいと思います。

東南アジア研究を継承し、さらに発展させていくためには、幅広い学術コミュニティとの連携が不可欠です。そのために、2010年度からは共同利用・共同研究拠点「東南アジア研究の国際共同研究拠点」を開始し、また、2013年10月にはアジアにおいて東南アジア研究を推進している主要な組織とともに「アジアにおける東南アジア研究コンソーシアム」(SEASIA)を設立して、国内外の研究者とともに新たな東南アジア研究を推進する体制を整備してきました。さらに多くのみなさんとの協働を今後も推進していきたいと思います。ますますのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

所長 河野 泰之
2014年4月

所長からのメッセージ(動画)

2014年7月9日撮影

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