伊藤 雅之 (いとう まさゆき)

所属部門:人間生態相関研究部門

職  名:助教

専門分野:生物地球化学、森林水文学

E-Mail:itoma [at] cseas.kyoto-u.ac.jp

個人WEBページhttp://www-archive.cseas.kyoto-u.ac.jp/www/2016/~itoma/


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研究関心:

  1. 熱帯地域の各種生態系における物質循環機構の解明
  2. 熱帯林や泥炭湿地の炭素窒素循環に対する人間活動の影響調査
  3. 亜熱帯湖沼における温室効果ガス動態に関する研究

研究概要:

     インドネシアの泥炭地における物質循環研究を中心に、スマトラ島リアウ州、カリマンタン島中カリマンタン州での現地調査を行っている。インドネシアに広い面積で広がる熱帯泥炭湿地林は、膨大な炭素を蓄積しており、近年の急速な乱伐や火災、植林地化が地域の自然環境を大きく変化させるとともに、二酸化炭素排出の増加や煙害等を通じて、地域や全球の環境に対しても非常に大きなインパクトを与えている。平成27年度は特に、世界で初めてインドネシアの熱帯泥炭湿地林に高精度メタン(温室効果ガス)濃度計を設置し、年間を通じての連続観測を開始した。
     また、ここで、地域の人為活動が環境に及ぼす影響に着目し、温室効果ガスの排出過程の変化、水・炭素や土壌養分がどのように変化しているかについて国際共同研究を進めている。泥炭火災の際に放出される煙は大規模な煙害(ヘイズ)を引き起こし、地域環境のみならず近隣諸国(シンガポール・マレーシア)などとの国際問題にもなっているため、煙に含まれる有害物質(PM2.5やエアロゾル)の調査をシンガポール南洋工科大、名古屋大学の研究者らと本格的に開始した。これは東南アジア研究所の共同利用・共同研究拠点の課題としても行った。
     現地のリアウ大学やパランカラヤ大学との研究協力を推進し、乱開発が進む泥炭湿地林の環境影響評価を目的とした現地調査を行ってきた。東南研の持つ現地フィールドステーションを拠点とし、現地大学の学生に対するフィールド調査指導も行っている。
     また、台湾中央研究院・北海道大学との共同研究として、亜熱帯湖沼での温室効果ガス動態の観測を行っている。これまでの成果として、暖冬の翌夏には湖底でのメタン生成が増大することを明らかにし、将来の温暖化が温室効果ガス生成をさらに増加させることを示唆した(Itoh et al., 2015, JGR-Biogeosciences)。

    開発されたインドネシア・スマトラの熱帯泥炭湿地林

    開発されたインドネシア・スマトラの熱帯泥炭湿地林

    亜熱帯湖(台湾・翡翠水庫)での調査

    亜熱帯湖(台湾・翡翠水庫)での調査

    熱帯泥炭湿地の林内

    熱帯泥炭湿地の林内

著  書:

著者名 タイトル 年月
伊藤雅之, 陀安一郎, 永田俊 首都の人口増加とそれに伴う河川の水質汚濁 2013
モンゴル-草原生態系ネットワークの崩壊と再生-. 藤田昇,加藤聡史,草野栄一,幸田良介編.京都大学出版会 453-468

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論  文:

著者名 タイトル 年月
Itoh, M., Kobayashi, Y., Chen, T.-Y., Tokida, T., Fukui, M., Kojima, H., Miki, T., Tayasu, I., Shiah, F.-K., Okuda, N Effect of inter-annual variation in winter vertical mixing on CH4 dynamics in a subtropical reservoir 2015
Journal of Geophysical Research- Biogeosciences
Fujimoto, M., Ohte, N., Kawasaki, M., Osaka, K., Itoh M., Itoh M., Otsuka, I. Influence of bedrock groundwater on streamflow characteristics in a volcanic catchment 2015
Hydrological Processes
Itoh, M., Shimamura, T., Ohte, N., Takemon, Y. Differences in hydrophyte life-forms induce spatial heterogeneity of CH4 production and its carbon isotopic signature in a temperate bog peatland 2015
Journal of Geophysical Research- Biogeosciences,120
Sakabe, A., Kosugi, Y., Takahashi, K., Itoh, M., Kanazawa, A., Makita, N., Ataka, M. One year of continuous measurements of soil CH4 and CO2 fluxes in a Japanese cypress forest: temporal and spatial variations associated with Asian monsoon rainfall 2015
Journal of Geophysical Research-Biogeosciences,120
Minamikawa, K., Fumoto, T., Itoh, M.., Hayano, M., Sudo, S., Yagi, K. Potential of prolonged midseason drainage for reducing methane emission from rice paddies in Japan: A long-term simulation using the DNDC-Rice model 2014
Biology and Fertility of Soils

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