若手研究(B)

ブータン王国における高齢者健診体制の構築

研究代表者 : 坂本 龍太

研究分担者 :

期間 : 2013-2016年度

研究概要 :

 国連によると世界の人口で65歳以上の高齢者が占める割合が1950年に5%であったものが、1990年には8%弱に増加し、2050年までに16%に達すると試算されている。ブータン王国では千人あたりの乳児死亡率は1960年に203人であったものが2005年には40人に減った(日本は2人)。1950 年代に36.1 歳であったとされる0 歳児の平均余命は2005年までに66.3歳(女性66.8歳、男性65.6歳)に延長し、65歳以上の人口が2005年の29745人(4.7%)から2030年までに58110人(6.6%)に倍増すると試算され、国家として次に取り組むべき新たな課題として浮かび上がってきたのが高齢者対策である。そこで、ブータン王国において生活の場に根ざした持続可能な高齢者健診体制を構築し、地域住民の保健・福祉に寄与しながら、その実践を通じて、高齢化を来す我が国及び世界の国々の保健政策のあり方にヒントを提示することを目指す。本研究では、ブータン王国に暮らす65 歳以上の高齢者を対象に高齢者で問題となるDisability (日常生活機能障害)、Diabetes (糖尿病)、Dementia (認知症)、Depression (うつ)、Dental problems (歯科の問題)、Isolation (孤立)、Hypertension (高血圧)、Alcoholism (アルコール依存)、Visual problems (視力障害)、Ear problems (聴力障害)、Fall risk(転倒リスク)、Urinary incontinence (尿失禁)、Nutritional problems (栄養問題) (頭文字を略して“5D, I HAVE FUN”)の項目を中心に健診、結果の解析、明らかになった問題の背景にある要因の特定、健診体制の体系化を進めていく。本研究の特色は、患者を病院で待つだけではなく、健診に来られない住民も往診を通じて積極的に取り込むことにある。本研究が目指すのは、ブータンに必要な高齢者のための保健体制を、現地住民が主体となって創り上げ、その中で新しい知見を積み上げていく実践型のフィールド研究である。
 

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