東西文化回廊研究 ― ミャンマーからタイ・カンボジアを中心に―

研究代表者:柴山 守(京都大学・地球研究統合情報センター)

共同研究者:SURAT Lerlum(Chulachom Khrao Royal Military academy・コンピューター学科)
      HOWARD, Elizabeth (Moore) Whittem(ロンドン大学・東洋アフリカ学研究所)
      小林 知(京都大学・東南アジア研究所)
      松浦 史明(上智大学・アジア文化研究所)

実施期間:2012-2013年

 

研究概要:

大陸部東南アジアにおける仏教文化の伝播において地域の固有性と文化圏としての特性にみる類似性、および東西回廊の全体像を、交易や文化ネットワークに関する史実やこれまでに入手不可能であったミャンマー当局から提供される考古資料等とフィールド調査による検証を伴って明らかにする。本研究では、特にミャンマー考古局から提供される未公開資料にもとづく調査と東西回廊関連研究をリンクし、ミャンマーからタイ、カンボジアに至る仏教伝播と文化圏の態様を明らかにする。

 

第1回東西回廊ワークショップ、2012年8月21日ミャンマー国ピィ考古学スクールにて

第1回東西回廊ワークショップ、2012年8月21日ミャンマー国ピィ考古学スクールにて

 
 
 

詳細:

ピィ・スィキセトラ博物館にて、2012年8月22日

ピィ・スィキセトラ博物館にて、2012年8月22日

本研究は、仏教文化の伝播において地域の固有性と広域の文化圏としての特性にみる類似性、および東西回廊の全体像を明らかにするために、ミャンマー国文化省考古局による未公開にある発掘調査報告資料( 2005 ~ 11 年)にもとづいて、ミャンマー東北部に散在する遺跡からの鉄器、壁画、遺物等の考古資料から仏教伝播に関する道路、河川、交易など伝播ルートに注目した比較検討と検証を行う。また、タイ、カンボジアにおける東西回廊学説と関連して、Dawei, Tanintharyi, 南東部のミャンマーの遺蹟資料との比較検討を行い、Dawei における海域あるいは島嶼間の政治的、経済的な関係のみならず仏教文化における儀式や仏教実践についても探究する。本研究は、考古学、人類学、地理学やリモートセンシングなど地域情報学との学際研究として進める。そして、CSEAS(東南アジア研究所)所蔵の航空写真Williams-Hunt Collection にもとづいて、東西回廊に関係するマレーシアを含めたマッピングをCSEAS、SOAS(ロンドン大学)、CRMA(チュラチョムクラオ・タイ王国軍大学校)、CIAS(地域研究統合情報センター)の共同で進める。

本研究は新たに提供されるミャンマー側からの資料で比較検討を容易にする。また、関連するケース・スタディから地理空間的な東西回廊の全容の解明に貢献する。そのために、地域固有の歴史に加えて、コミュニティ、生業、交易などの伝播ルートにおけるマッピングを行って、従前に公開されていなかった空間情報的な構造が明らかになる。ミャンマー国文化省との連携による今後の新たな学術交流の展開に極めて大きい意義をもつ。また、文理融合とフィールド調査による学際的研究である。

 

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