植民地後期インドネシアの社会と経済に関する歴史資料の研究

研究代表者:植村 泰夫(広島大学・名誉教授)
共同研究者水野 広祐(京都大学・東南アジア研究所)
      藤田 英里(広島市立大学・国際学部)

実施期間:2012-2013年

 

研究概要:

インドネシア国立文書館

インドネシア国立文書館

本研究は植民地後期( 19 世紀初~ 20 世紀前半)インドネシアの社会と経済に関する歴史資料の全体像を明らかにし、その中で重要なものについては解題を施すことを試みる。本研究の成果は様々な形で広く公開されるが、これにより基本史料へのアクセスがより容易になり、特にインドネシア史研究に従事しようとする若手研究者の助けとなることを目指している。また、国内に所蔵がない重要史料としてCatholic Church in Indonesia: Archives of the Archbishopric of Batavia/Jakarta, 1807-1949他を購入する予定である。

 

詳細:

オランダ国立文書館所蔵植民地文書Verbaal 11 October 1932 no.18

オランダ国立文書館所蔵植民地文書Verbaal 11 October 1932 no.18

19世紀初めにオランダ植民地支配が本格化して以来、オランダが得たインドネシア現地社会に関する情報は急増した。オランダ支配が東インド会社時代から展開したジャワでは、間接統治から直接統治への転換の結果、村落内部の状況までもが収集された。外領でも19世紀中ごろからの支配拡大により、現地社会の把握は急速に進んだ。得られた情報は膨大な公文書、私文書の中に残されており、その一部は刊行されているが、大部分は未刊行でインドネシアやオランダの国立文書館などに収蔵されている。これまで若干の書誌学的検討が行われてきたが、インドネシア研究の現状に照らせば十分ではない。

加えて、当該期には多数の新聞、雑誌がインドネシアやオランダで発行されているが、当時のインドネシアに関する重要な情報を含むにもかかわらず、大半は史料として利用されておらず、その完全なリストもない。また20世紀には日本の手で各種調査が多数行われ、さらに近年の歴史研究では現地語史料の利用も始まっているが、その史料学的検討は十分ではない。

本研究は、これらの歴史資料の全体像を可能な限り把握し、重要な資料について解題を行うことを目的とする。これによりインドネシア史研究の各課題にどのような歴史資料が必要かが明らかにされる。このことは、特にインドネシア研究をこころざす若い世代に大きな手がかりを与え、日本におけるこの分野の研究の発展に役立つ。また、本研究により収集される資料は、インドネシア史の史料状況をさらに充実させることになろう。

 
 

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