19世紀、近代化の影響を受けて東南アジアが大きく変わろうとしている時代に生きたアブドゥッラーの自伝である。今からすれば彼はマレー人と言えるのであろうが、そうした近代的民族意識のはっきりしない時代に書かれた東南アジア屈指の自伝である。その面白さを更に理解したければ『海の帝国』(白石隆)(中公新書)をまず読んでからでもよい。