- 研究代表者:福井清一(京都大学・大学院農学研究科)
- 共同研究者:藤田幸一(京都大学・東南アジア研究所)
- 矢倉研二郎(阪南大学・経済学部)
- 三輪加奈(釧路公立大学・経済学部)
- Chhair Sokty(神戸大学・大学院国際協力研究科)
研究概要
本研究では、東南アジアに位置するカンボジアの、特に貧困問題が深刻である農村部における、「社会的ネットワーク(social network)」と、カンボジアで観察される共同体的互助制度の「サンガハ(Sangaha-tine)」、および、家族からの「仕送り」が、家計間・家計内におけるリスクのプールにどれほど貢献しているのかについて、カンボジア農村における家計調査、フィールド実験によって検証する。
詳細
本研究の目的は、開発途上国のひとつであるカンボジアの貧困農村において、住民の親族関係・人間関係としての「社会的ネットワーク」「互助組織」「家族からの仕送り」が、貧しい人々の生活の脅威となりうる不測のショックに直面することのリスクを緩和し、家計間・家計内でリスクをプールすることに、どのように相互に関連しながら貢献しているのかを、実態調査と実証分析により明らかにすることである。
昨年度は、主としてコミュニティー・ベースの互助制度(サンガハ)の、リスクプーリング機能と、それに参加する人々の動機について、調査研究を実施したが、今年度は、二者間の社会的ネットワーク関係を互酬的関係、一方的関係等にタイプ分けし、それらを通じたリスクプーリング機能に焦点を当てて調査研究を行う。
社会的ネットワーク関係とリスクプーリングについては、すでに多くの研究が行われているが、本研究は、社会的ネットワーク関係をタイプ分けし、タイプによって機能が異なる可能性を考慮している点で独自性があり、当該分野の研究の進展にとって大きな意義があると考えられる。
また、社会的ネットワークと互助制度、仕送りを通じた家計間・家計内の贈与・インフォーマル信用交換がどのようなメカニズムで、どの程度、貧困緩和に貢献しているのかを明らかにすることは、より有効な農村の貧困緩和策を考案することに役立つと考えられる。
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