- 研究代表者:岡本郁子(日本貿易振興機構アジア経済研究所・地域研究センター)
- 共同研究者:藤田幸一(京都大学・東南アジア研究所)
- 三重野文晴(京都大学・東南アジア研究所)
- 工藤年博(日本貿易振興機構アジア経済研究所・ERIA 支援室)
- 中西嘉宏(日本貿易振興機構アジア経済研究所)
研究概要
2011 年央以降、ミャンマーでは新しく成立した文民政権の下で経済改革の機運がかつてなく高まっている。財政・金融、工業、農業分野などで広範囲かつ抜本的な改革を含むだけでなく、改革に関与するアクターが多様化している点に大きな特徴がある。本研究は、具体的な政策の展開とそれに関わるアクターの分析を通じて、ミャンマーが目指すべき経済発展の方向性を明らかにすることを目的とする。
詳細
ミャンマーは市場経済への移行を唱えながらも、国際社会からの孤立と社会主義的遺制を強く残す恣意的な経済運営の影響で、経済は長らく低迷してきた。2011年の新政権樹立後も抜本的な経済改革には懐疑的な見方が大宗を占めていたが、年央からの政治改革の動きと平行して、政府、国会、そして民間レベルで改革の議論が活発化するようになった。そこには、複数為替制度問題、農地法や外国投資法の改正など、軍政下では先送りされてきた重要な改革も含まれる。また、政治改革の急進展を受けて、欧米の経済制裁解除や国際的経済支援の拡大が予想されている。これらの結果として、ミャンマー経済が短期間で大きく変容する可能性が広がってきた。
しかしながら、国際経済・社会への復帰を急ぐあまり、全体的構想が欠如したまま、やや性急で思慮の足りない改革が矢継ぎ早に打ち出されている印象もある。そこで本研究では、経済改革に向けた政策とその展開、そしてそれを牽引するアクターを分析することによって、ミャンマー経済発展のあるべき方向性を描くことを目指す。それにあたっては、ミャンマー特有の政治・経済体制の歴史的変遷を視野に入れることで、同国の経済発展プロセスの総合的な理解の深化と、世界のミャンマーに対する支援をより効果的にするための基礎的知識を提供することも目指す。
シャン州・インレ湖の漁民 |
エーヤーワディ・デルタにて除草作業中の労働者 |
ヤンゴンの渋滞 |