III-1.「インドシナ戦争期北ベトナム逐次刊行資料保存・利用環境の整備」(平成25-26年度 FY2013-2014 継続)


  • 研究代表者:岩月純一(東京大学・大学院総合文化研究科)
  • 共同研究者:小島浩之(東京大学・大学院経済学研究科・経済学部)
  • 木谷公哉(京都大学・東南アジア研究所)
  • 大野美紀子(京都大学・東南アジア研究所)
  • 石川一樹(東京大学・東洋文化研究所)
  • 末成道男(東洋大学・アジア文化研究所)
  • 遠藤 聡(共立女子大学・国際学部)
  • Pham Van Bich(社会科学アカデミー・社会学院)

研究概要

近年ベトナムでは、ベトナム国家図書館や国立公文書館などの各研究機関において所蔵史・資料のデジタル化が急速に進展しているが、その主たる対象は漢文・チューノム文献に偏向しており、近現代の逐次刊行物、とりわけインドシナ戦争期に刊行された雑誌・公報等の保存が看過され、急速に劣化し消滅の危機に瀕している。本研究は、インドシナ戦間期逐次刊行物資料をデジタル化保存し、日本・ベトナム双方の研究機関で体系的・網羅的に保存・所蔵・利用し、日本におけるベトナム研究の発展に貢献する。

詳細

本研究では、昨年度、ベトナム歴史協会・極東学院がデジタル化した資料全12 タイトルを当該機関会長Phan Huy Le 教授とハノイ事務所駐在Dr. Olivie Tessier の好意によって入手し、また今後の資料提供を約することができた。並行して、3 回の研究会を開催し、資料選定・招来交渉に係る協議を経て、ハノイ社会科学通信図書館とホーチミン市社会科学図書館に対して資料デジタル化交渉を行い、招来した。この間の資料所在調査や招来交渉の過程で、日本国内外の研究機関ではなお体系的・網羅的に所蔵されておらず、ベトナム本国においても適切な資料保存がなされていない状況が明らかになった。今後の展望として、ベトナム研究の面では、従来南ベトナム資料に偏向していた資料状況の欠が補われ、インドシナ戦間期南北ベトナムの社会研究への展望が開けた一方、資料保存・利用の面について、デジタル化資料の運用、永年保存プロセスの構築を今年度の研究課題として検討していく。

このような基礎的な史・資料の整備は、これまで国外での長期滞在なしでは不可能だった詳細な文献調査を容易にし、ベトナム近代史研究の深化に寄与するだろう。


社会科学通信図書館(ベトナム、ハノイ)

『中北新聞』─ハノイで刊行された日刊新聞─