- 研究代表者:落合雪野(龍谷大学・農学部食料農業システム学科)
- 共同研究者:池田一人(大阪大学・大学院言語文化研究科言語社会専攻)
- 今村真央(京都大学・東南アジア研究所)
- 木村真希子 (津田塾大学・学芸学部国際関係学科)
- 小島敬裕(京都大学・東南アジア研究所)
- 中田友子(神戸市外国語大学・国際学部国際関係学科)
- Nathan Badenoch(京都大学・東南アジア研究所)
- 藤田幸一(京都大学・東南アジア研究所)
研究概要
本研究は、中国雲南省から東南アジア大陸部を経て、インド北東部やバングラデシュ東部にかけての地域を対象に、この地に居住する民族集団、特に少数民族と呼ばれる人々の異なる政治経済体制の下での社会的生活的実践=「多様なやりとり」を多角的に検討する。この作業を通じて、1)研究の展開状況の把握、2)研究手法の検討、3)問題の所在の明確化を進め、大型研究プロジェクトへのステップアップにつなげる。そのために、外国人招へい者として、Dr. Nicholas Farrelly(Austrian National University, Collage of Asia and the Pacific)を、平成 27 年度に他の資金源を利用して短期間、その後、本研究によって平成 28 年 7月から6カ月間、それぞれ招へいする予定である。
目的
本研究では、中国雲南省、ベトナム北部、インド北東部に囲まれた「ゾミア」地域で現地調査を実施している共同研究者8名が、少数民族の社会的生活的実践を具体的に検証する。同時に、ゲスト講師を招いて多様な分野の調査事例を参照する。この作業をもとに、1)対象地域における研究の展開状況を把握し、2)研究手法や研究倫理について検討し、3)問題の所在を洗い出してその明確化を図る。これにより、大型プロジェクト実施のための体制を整えたい。
意義
[中国、東南アジア、南アジアを跨界する研究]
東南アジア研究者を中心に、南アジアや中国での調査経験を持つ共同研究者、さらに、若手ながら第一人者として活躍するDr. Nicholas Farrellyが参加することにより、異なる政治経済体制下にある対象地域の状況を包括的に議論できる。Dr. Farrellyはタイを中心に、インド北東部、バングラデシュ、ミャンマー、中国西南部などで、政策と社会の関係や政治的対立に関する研究実績があり、本研究に最適な人材である。
[日常的実践と非日常的実践]
少数民族の社会的生活的実践のうち、日常生活に関連して、農業、商業、工芸、宗教活動、言語使用などの事象を幅広くとりあげる。また、日常生活に深刻な影響を及ぼす、紛争、民族問題、難民、移民などの非日常的実践についても議論の対象とする。これをもとに、現在の研究状況を把握し、問題の所在を洗い出す。
期待される効果
[研究者ネットワークの構築]
若手研究者を含めた共同研究者や招へい外国人、ゲスト講師が発表と討論を進め、また関連するプロジェクトの成果を参照することにより、将来的な共同研究の基盤となる研究者ネットワークを構築することができる。
[研究手法の共有]
対象地域では、現地調査を実施する際に、数多くの課題(交通手段、宿泊、政府機関等との交渉、危機管理など)が発生している。また、インフォーマントが特殊な立場におかれたり、複雑な背景を有することもある。本研究では、その対処方法や研究倫理に関して、個々の経験や情報を持ち寄り、あらためて検討する。この成果を今後の研究活動にフィードバックすることができる。
モノと情報のやり取りの場としての朝市(ラオス、ウドムサイ県2014 年) |
ラオス、フアパン県の染織(2014 年)自然素材の使用状況に変化が生じている。 |