- 研究代表者:藤澤道子(京都大学・東南アジア研究所)
- 共同研究者:松林公蔵(京都大学・東南アジア研究所)
- Garcia del Saz Eva(高知大学・国際連携推進センター)
- 石田明夫(琉球大学・大学院医学研究科)
- Ida Bagus Manuaba Indrajaya(ワメナ総合病院)
研究概要
インドネシア・パプア州(旧イリアンジャヤ)ニューギニア高地住民は、最近まで独自の生活様式を堅持して生活してきた。しかし政府の移民政策以降、特に近年インドネシア他島からの移民が増加し、生活様式が変化しつつある。以前の生活様式と比較しながら、現在起こっている変化の経過観察を行うことで、健康との関連について検討する。具体的にはホームステイによる生活様式調査を行うとともに、医学的住民健診を行う。
詳細
動脈硬化は、虚血性心疾患・脳卒中など生活機能障害を引き起こす疾患の原因であり、加齢とともに進行する。我が国だけでなく急速に高齢化が進行中であるアジア諸国にとっても重要課題である。
通常の社会では、加齢とともに動脈硬化が進行し、血圧も上昇するが、インドネシア・ニューギニア高地に住む集団では加齢による血圧上昇がみられない(Hypertension Research 2012)。しかし、地域住民の生活様式に変化が見られ、以前はほとんど摂取していなかったとされる塩分摂取量の増加、砂糖の利用により、今後糖尿病、高血圧などの生活習慣病が増加することが推測され、それにともない動脈硬化性疾患の増加が懸念される。
動脈硬化は、生活習慣と関連があることが明らかになっているが、動脈硬化の成因については、まだ不明な点が多い。高齢化の進むアジア諸国において、生活習慣病は大きな問題であり、動脈硬化の発生機序を明らかにすることで、予防策を講じることができれば、非常に意義のある研究となる。また本研究は、「生活様式の変化が進行中である現在」に行うことに意義がある。
動脈硬化の成因が明らかになることで、今後の予防に寄与することができる。また、本研究は、現地に近いワメナ総合病院長との共同研究である。この地域は結核などの感染症が問題であるにもかかわらず、病院受診せず、若くして死亡する住民も少なくない。この研究活動をとおして今後地域住民の健康向上が期待できる。
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