I-4. 「中進国農村の生業生態系の変化と政治変動:タイ東北部を中心に」(平成29年度 FY2017 新規)


  • 研究代表者:藤田渡(大阪府立大学・大学院人間社会システム科学研究科)
  • 共同研究者:Viengrat Nethipo(チュラロンコン大学・政治学部)
  • Saowanee T. Alexander(ウボンラチャタニ大学・教養学部)
  • Prasongchai Setthasuravich(マハーサラカム大学・政治行政学部)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

タイ東北部農村の政治的意識・行動の変化を、生業・社会経済・生態環境との連関から分析する。統計データなど定量的・広域的分析と、村落などでの詳細な事例分析による。メンバーによる調査分析の成果を検討し理論的考究を深める場として、バンコク連絡事務所を拠点に研究会を開催する。特に、研究代表者が駐在を希望する2018 年7 月後半から10 月前半までの時期に、メンバー外の専門家も交えた研究会を集中的に開催する。

詳細

かつて貧困の代名詞的に語られたイサーン(タイ東北部)農村では、近年、ゴムやキャッサバなどの価格水準上昇に伴い、社会経済的地位の向上、生活スタイルの「都市化」が進んでいる。これが農村部での人々の政治意識・行動にもたらした変化を分析・考察することが本研究の目的である。現在、科研費により、統計データや「反独裁民主運動」(「赤シャツ」)支持の分布など定量的・面的分析と、より詳細な定性的事例研究を組み合わせた調査・研究を計画している。

本研究では、これらの研究と連動し、「中進国」化するタイ東北部農村の社会政治変動を生業・生態環境と関連づけて分析し、より広範な東南アジアの地方政治研究の文脈に位置づける。上記のような臨地研究の成果について多面的に議論を行い、理論的考究を深める機会として本研究を実施する。政治学、社会言語学、環境社会学、人類学といった専門分野の異なるメンバーにより分野横断的な議論を行う。特に、代表者のバンコク連絡事務所駐在期間には、メンバー以外の多様な専門家も招聘し集中的に議論の機会を設ける。そうすることで、村落レベルでの生業・生態環境・社会の動きと、地方・国レベルでの政治の動きとの有機的連関モデルを示すことが期待される。

 


ゴムの収穫による現金収入が生活の基盤となる。

タムボン自治体首長の立候補者。生業・生活スタイルの変化がどのような政治的変動をもたらすのか?