IV-3.「植民地体制下の東南アジアにおける地域経済の変容に関する比較史的考察」(平成28-29年度 FY2016-2017 継続)


  • 研究代表者:西村雄志(関西大学・経済学部)
  • 共同研究者:太田 淳(慶應義塾大学・大学院経済学研究科)
  •                      岡田雅志(大阪大学・文学研究科)
  •                      柿崎一郎(横浜市立大学・国際総合科学部)
  •                      神田さやこ(慶應義塾大学・大学院経済学研究科)
  •                      北川勝彦(関西大学・経済学部)
  •                      後藤健太(関西大学・経済学部)
  •                      小林篤史(大阪産業大学・経済学部)
  •                      城山智子(東京大学・経済学研究科)
  •                      島田竜登(東京大学・大学院人文社会系研究科)
  •                      杉原 薫(政策研究大学院大学・政策研究科)
  •                      多賀良寛(大阪大学・文学研究科)
  •                      谷口謙次(大阪市立大学・大学院経済学研究科付属経済学研究教育センター)
  •                      正木 響(金沢大学・人間社会研究域経済学経営学系)
  •                      水野広祐(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  •                      宮田敏之(東京外国語大学・大学院総合国際学研究院)
  •                      村上 衛(京都大学・人文科学研究所)

研究概要

昨年度の本研究プロジェクトは、東南アジア経済史に限らず、アフリカや中国・インドの研究者からも報告を御願いし、大変有益な示唆を得られた。今年度も引き続き、東南アジア経済史をグローバル・ヒストリーの枠組みから捉え直すことに努めたいと考えている。研究手法としては、初年度と同様、主に一次資料を分析していく手法で取り組みたいと考えている。少なくとも年2 回は研究会を開催し、その成果を各自が成果に纏めていく予定である。

詳細

昨年度の研究会を通じて、東南アジア経済史が近年飛躍的に研究対象となる事例や地域、時期が多様化している事が判明した。
これまでの一つの地域に焦点をあて、近隣の他の地域については門外漢となるような問題は少なくなり、東南アジアが一つの地域としての「纏まり」を持ってグローバル・ヒストリーの枠組みの中で他地域とも比較して特徴を見出していける段階まで研究水準が高まったと言える。今年度はそうした東南アジア経済史研究を先進している他の地域経済史研究の成果とコラボレーションさせながら、より世界史的視座から東南アジア経済を捉え直そうと考えている。その上で各メンバーがその成果を纏める作業に入ってもらえればと考えている。

周知のように、1870 年代頃から東南アジアに対する領域的支配が強化され、急速に地域経済は植民地体制の下に再編された。しかし、地域経済が単純に欧米諸国の植民地経済の一部に包摂されたと言うことはなく、それぞれが自律性を持って植民地化という外からの衝撃に対応したと、主に近年の先行研究で主張されている。
この点について昨年度の研究会ではメンバー同士で議論を深めていく中で更に認識を強く共有できたと考えている。今年度はグローバル・ヒストリーから見た東南アジア経済を明瞭化していくと同時に、東南アジア経済史研究を更に一次資料等の分析といった実証的なレベルを高めたものにするつもりである。その上でこのプロジェクトが東南アジア経済史をより一層発展させていく端緒となるようにする所存である。

 


ビルマ・シャン州のボードウィン鉱山の発展に貢献した北シャン線のゴーテイク橋梁

タイ東北部とバンコクの間の新たな商品流通を生み出した東北線の山越え区間にある大岩(パーサデット)