- 研究代表者:三田村啓理(京都大学・大学院情報学研究科)
- 共同研究者:Thavee Viputhanumas(タイ国水産局・内水面水産部)
- Boonsong Richaroendham(タイ国水産局・内水面水産部)
- 小林 知(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
- 荒井修亮(京都大学・フィールド科学教育研究センター)
- 光永 靖(近畿大学・農学部)
研究概要
東南アジアにおける栽培漁業に対し、適切な放流尾数と漁獲可能尾数を提言し、持続的漁業の啓発を図る。タイ国ケンクラチャン湖をモデルケースとして現地に赴き、タイ水産局、ケンクラチャン漁業管理局への聞き取り調査を行い、毎年の放流尾数と漁獲尾数を明らかにする。さらに地元漁業者の操業に同行して漁具・漁法を確認し、漁業者から問題点や改良点を抽出し、より効率的な漁具の開発を行う。開発した漁具を持ち込んで操業を行い、効果を確認するとともに、資源管理に向けた提言を行う。
研究目的
東南アジア各地で種苗放流(人工ふ化させた幼魚を天然水域に放流)が行われ、適切な放流尾数や漁獲尾数が明瞭でないまま、栽培漁業(天然水域で育った個体を漁獲)が営まれている。なかでもメコンオオナマズは世界最大級の淡水魚で、絶滅危惧種に指定されている一方、タイ国においては重要な水産資源である。本研究では、ケンクラチャン湖のメコンオオナマズ漁をモデルケースとして、持続的漁業を確立することを目的とする。
意義
希少種を持続的に利用するには「護りながら獲る」手立てを画策することが必須である。資源管理を通じた持続的漁業の理念を現地に持ち込むことに意義があり、タイ人とって特別なメコンオオナマズをいつまでも食べ続けることができるよう願う。
期待される効果
カウンターパートであるタイ水産局や漁業管理局への聞き取り調査に加え、地元漁業者の操業に同行して、現行の漁具・漁法の問題点や改良点を抽出し、効率的な漁具・漁法を開発することにより、彼らの肉体的、金銭的負担を軽減することが期待される。同じ苦労を共にすることでより効率的な漁具・漁法のアイデアが生まれ、翌年の操業への効果が期待される。毎年の適切な放流尾数と漁獲尾数を提言することは、資源管理を容易にするだけでなく、タイ水産局以下、漁業管理局、地元漁業者に至るまで持続的漁業の理念が浸透することが期待される。
巨大メコンオオナマズと漁業者。小さなボートで大きなオオナマズを捕獲する。 |
タイ国ケンクラチャン湖の夕暮れ。 |