III-2.「インドネシアにおける経済センサス個票データの利用価値とその可能性」(平成30年度 FY2018 新規)


  • 研究代表者:小泉佑介(上智大学・アジア文化研究所)
  • 共同研究者:新井健一郎(亜細亜大学・都市創造学部)
  • 林 憲吾(東京大学・生産技術研究所)
  • 長津一史(東洋大学・社会学部)
  • 鮫島弘光(地球環境戦略研究機関・自然資源・生態系サービス領域)
  • 古川文美子(神戸大学・人間発達環境学研究科)
  • 鈴木 遥(総合地球環境学研究所・研究部)
  • 甲山 治(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

本研究では、インドネシアにおける経済センサス個票データの分析を中心に、ジャカルタ大都市圏における居住空間と産業立地の変化を考察する。経済センサスの調査対象は、大企業だけでなく、家族経営の工場や小規模な屋台など幅広く、大都市圏内の工場労働者の特徴や、雑業等で生計をたてる人々の動向を分析するうえで、利用価値の高いデータである。本研究では、2018 年度中に中央統計庁から2006 年と2016 年の個票データを購入し、メンバー間で共有・分析をおこなう予定である。

詳細

本研究では、ジャカルタ大都市圏において、新規の工業団地や高層アパート建設が、ジャカルタ首都特別州から隣接地域に分散している傾向に着目し、1)大都市圏内部での人口移動、2)大都市圏外からの労働力移動、3)これら人口移動を促す要因として、大都市圏の産業立地と就業構造の変化を解明することを目的とする。

本研究で用いる人口・経済センサスの個票データは、数百万~数千万行に達する膨大なデータセットであり、分析が容易ではなく、先行研究の蓄積も少ないため、これまで積極的な利用は進んでこなかった。特に経済センサスに関しては、管見の限り、日本の研究者による利用は皆無である。本研究の意義は、インドネシアにおける都市の社会経済変化を分析する上で、経済センサスの個票データを用いた、新たな研究アプローチを提示することにある。

本研究では、人口3000 万を超えるジャカルタ大都市圏について、経済センサス個票データを用いることで、フィールド調査だけでは捉えることのできない人口動態と産業構造の変化を、マクロな視点から理解することが可能となる。加えて、こうした研究成果を、中央統計庁や付属の統計大学校の職員と共有することにより、インドネシアにおける社会経済統計データのさらなる利用可能性を見出すことができると考える。


中央統計庁の本庁舎

ジャカルタ特別州内の小規模事業所