IV-5. 「東南アジアにおける神経筋疾患治療・ケアの実態把握」(平成29-30年度 FY2017-2018 継続)


  • 研究代表者:坂野晴彦(マサチューセッツ州立大学・医学部)
  • 共同研究者:坂本龍太(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 松林公蔵(京都大学・東南アジア地域研究研究所・名誉教授)
  • 井上治久(京都大学・iPS細胞研究所)
  • 勝野雅央(名古屋大学・大学院医学系研究科)
  • 祖父江元(名古屋大学・大学院医学系研究科)
  • Duangnapa Roongpiboonsopit(ナレースアン大学・医学部)
  • Rawiphan Witoonpanich(マヒドン大学・医学部)
  • Teeratorn Pulkes(マヒドン大学・医学部)
  • Charungthai Dejthevaporn(マヒドン大学・医学部)

研究概要

神経疾患に対するアジア共同の臨床研究を行うための日本と東南アジア諸国との間のプラットフォーム形成を長期目標に、本研究ではタイにおける神経筋疾患治療・ケアの実態把握を行い、東南アジアとの今後の協力体制構築に向けた足掛かりを確立する。文理融合型の研究を得意とする京都大学東南アジア地域研究研究所のフィールド医学研究者の協力を得て、実態把握とともに国際共同研究のシーズを探る。

詳細

神経筋疾患は筋力低下を生じることから治療とともに介護およびケアが必須であり、家族/社会構造・介護システムによる影響が大きい。またアジア人におけるデータは薬理遺伝学的観点において欧米とは異なる点があり、欧米データの直輸入から脱しアジア発の臨床研究・臨床試験を推進することが重要となってきている。

全身の筋力低下、筋萎縮を来し発症後3~5 年で死に至る筋萎縮性側索硬化症(ALS)にみられるように、神経筋疾患には治療法が確立されておらず、症例数も少ない疾病が多い。治療法確立のために多地域からの変異遺伝子集積は今後とるべき方向性であり、国際共同臨床研究、臨床試験が研究推進の鍵となる可能性がある。

本研究ではALS を中心とした神経筋疾患の東南アジアにおける治療・ケアの実態を日本の現状と比較し検討する。具体的には医療レベル、親日感情等で利点の多いタイ・カンボジアをアジア連携のフィールドとして都市部と農村部において神経筋疾患治療およびケアの実態調査を行い、今後の共同臨床研究のシーズを探る。

本研究では将来的な日本と東南アジア諸国との国際共同研究体制構築に向けた第一歩として、タイ・カンボジアとの協力関係を確立する。東南アジアにおける神経筋疾患の治療・ケアの実態を把握することで、アジア型の治療・ケア体制について考察を深め、今後の治療・ケアの方向性を提案する。さらに患者遺伝子集積を行うことで神経変性疾患の病態解析に貢献できる可能性がある。


マヒドン大学ラーマティボディ病院筋電図室への訪問

ナレースアン大学附属病院