本拠点は、東南アジア研究のフロンティアを拓く国際共同研究の中心として、(1)「地球と地域社会の共生」のための生存基盤持続型の発展に関する研究、(2)「地球での地域社会の共生」のための多文明共生発展に関する研究、これらを統合した(3)循環型・互恵型の「地球共生パラダイム」の構築・発信を推進しています。
そのために、以下7タイプの共同研究と共同利用を実施しています。
共同研究
国内外の研究者コミュニティからの要望に応え、東南アジアを対象として、公募共同研究を実施しています。
- タイプⅠ 海外連絡事務所(バンコク、ジャカルタ)を活用したフィールド滞在型共同研究
- タイプⅡ 招へい研究員(旧名称:外国人研究員)制度を活用した拠点集中型共同研究
- タイプⅢ 豊富な所蔵史資料を活用した資料共有型共同研究
- タイプⅣ 近い将来のプロジェクト形成を目指す萌芽型共同研究
- タイプⅤ 国際公募出版(『地域研究叢書』の公募出版)
- タイプⅥ 若手育成型研究
- タイプⅦ 若手の国際発信力強化型研究(随時国際会議へ派遣)
また、これらの共同研究の連携を促進するために、年次研究発表集会を開催するとともに、年報IPCR(International Program of Collaborative Research)を刊行しています。
共同利用
(1)半世紀にわたり蓄積してきた東南アジア研究に関わる図書資料(約19万点)、地図・画像資料(約4万点)等の研究資源、(2)共同利用・共同研究スペース(共同利用・共同研究室、図書室、地図室)、(3)長期滞在型臨地調査のためにバンコク・ジャカルタ連絡事務所を供しています。
目的・目標
「東南アジア研究は今日の地球社会が直面する課題に先導的に取り組むべきである」という学術研究コミュニティからの強い要請に応えて、東南アジア研究を飛躍的に発展させるために、東南アジア研究の国際共同研究拠点を形成します。
本研究所が蓄積してきた国際的な研究ネットワークを活用して、地球共生パラダイムの構築を目指し、先進的な文理融合型の共同研究・共同利用を推進します。
必要性・緊急性
東南アジアは、冷戦期の国家・民族間の過酷な対立や紛争を克服し、EU(欧州連合)やNAFTA(北米自由貿易協定)を凌ぐ6億の人口を有する地域=ASEANとして、国際的に重要な政治・経済アクターへと成長しました。さらに2015年12月には、ASEAN経済共同体(AEC)が設立され、政治経済分野のみならず学術分野においても、わが国の重要なパートナーとして急速に成長しつつあります。
また、熱帯の豊富な太陽エネルギーに支えられた旺盛なバイオマス再生力はエネルギー・材料資源として有望視されています。
こうした東南アジアにおいて自然環境と調和する持続的発展と多文明・多民族が協働する交響的共生を実現するために、歴史発展経路と現状の問題点、および将来の可能性を、「地球と地域社会の共生」と「地球での地域社会の共生」という地域研究の視点から検証し、地球共生パラダイムを構築することは、人類生存のための喫緊の課題です。
独創性・新奇性
地球環境問題や急激に進行するグローバリゼーションが生み出す諸問題に対処するには、地域の暗黙知や実践知の体系化とグリーンやライフのイノベーションの創出にむけて幅広く文理を融合させた研究が必須です。
本研究所は、重点領域研究(1993-96年度)、COEプログラム(1998-2002年度)、21世紀COEプログラム(2002-06年度)等の実績をふまえ、グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」(2007-11年度)において、総合的地域研究と先端的科学技術研究とを融合させた持続型生存基盤パラダイム研究の創成に挑戦しました。
そしてこの学際共同研究は特別経費プロジェクト「ライフとグリーンを基軸とする持続型社会発展研究のアジア展開」に引き継がれ、東南アジアに根ざした新たなパラダイムの構築とグローバルな人材育成と研究ネットワークの強化が進行中です。
先端的な自然科学を取りこんで地域研究を実践・展開する機関はほかに例をみません。半世紀の実績と経験を基盤として、課題追求・解決志向型の東南アジア研究を、国内外の研究者・研究機関と密接に連携協力しながら推進してゆくためには、本研究所が共同利用・共同研究拠点として情報と英知を効率よく集積し、応用実践へと架橋してゆくことが不可欠です。
また同時に、本研究所の国際的ネットワークなどを利用して若手研究者のグローバルな成果発信力をよりいっそう強化してゆくことは、日本の東南アジア研究の急務の課題に対する本研究所ならではの貢献です。
コメントを投稿するにはログインしてください。