インドネシア、スズ鉱山跡荒廃地の修復可能性調査
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インドネシア、スズ鉱山跡荒廃地の修復可能性調査
Seeking Possibilities in Environmental Reclamation of the Post Tin Mining Site in Indonesia
京都大学東南アジア地域研究研究所
伊藤雅之
インドネシア・バンガ州ブリトゥン島では、18世紀よりスズ採掘が行われており、今ではその規模も縮小したが未だ活動は続いている。スズの採掘の後には、砂の堆積地と粘土の堆積地が残り、植生のない荒れた土地として現在もその残痕を観測することができる(図1)。本プロジェクトの目的は、この荒廃地を対象に土地の再緑化を行うことで、景観の回復と、その資源をバイオマスとして活用できるように、現地での土壌調査や植生回復調査を行うことである。
スズの価格下落による生産量減少に伴い代替品としてコショウ栽培が増加しており、その添え木としてマメ科の樹種であるグリリシディア(Gliricidia)が利用されている。この木を用いて土地回復を行い、バイオマス供給可能性を住民と探った。植物の生長に必要な水供給の把握のため地下水調査を行い、各調査サイトにおけるグリリシディアの生長との関連性を探り、さらに詳細に土壌と栄養との関連性の知見を得るためポット試験を実施した(図2)。また周辺の地理情報を理解するために、ドローンを用いた空間情報の構築と(図3)、微細地形情報の抽出等を実施し、グリリシディアの生長と環境条件の関連性が少しずつ明らかになってきた。
ブリトゥンでの干ばつにより、非常に厳しい生育状況下にもかかわらず生長をしたグリリシディアは生存力が高く、樹木自体の特徴からしても植栽樹種として可能性を持ち合わせていることがわかった。更なる調査により生育するための環境条件を明らかにしていくことで、人為的な活動により荒廃した土地を回復させるための手法を確立していくことが可能だと考える。
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