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第20回ゾミア研究会

2016/12/23 @ 1:30 PM - 5:45 PM

20161208_zomia_19日時: 2016年12月23日(金)13:30~17:45(13:00開場)
場所: 京都大学東南アジア研究所 東棟1階会議室107

プログラム
13:30-13:35 Introduction

第1部 13:35-15:35

「清代前半期雲南における塩専売の官運制について」
謝 祺 (名古屋大学文学研究科 博士後期課程)

第2部 15:45-17:45

「庇護権の陰で―20世紀初め、中国・ベトナム国境地域での事件を手がかりに」
望月 直人(京都大学人文科学研究所付属現代中国研究センター 研究員)

コメンテーター:岡田雅志(大阪大学文学研究科 助教)

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Abstract

謝 祺「清代前半期雲南における塩専売の官運制について」

清代雲南省は他の省と同じく塩専売制を実施したが、その専売は民衆に過度の負担を与え、嘉慶初期の反乱の原因になった。本発表では、雲南において塩の専売を巡る民衆の反乱が起こった原因を、官側の構造的問題から明らかにするために、論述を展開する。
清代雲南省においては様々な原因で塩の生産・運銷コストが高く、この影響で運銷(運輸・販売)には常に困難があったため、官運制という官側による生産・運輸コストを負担する制度が実行された。官運制の実行における雲南官僚の自主的な変革や融通をきかせる行動は皇帝・戸部にある程度まで容認された。自主性が尊重される代わりに奏銷・考成制度(奏銷は官僚による中央政府に対する財務報告、考成は中央による官僚に対する業績審査)を通じて官僚の販売定額の達成が厳しく要求された。そして最終的に雲南官僚が定額を達成できなかったことはしばしばあり、ゆえに官僚の自主性の発揮は逆に中央側の官僚に対する不信感を招いた。汚職防止の目的で中央政府は非合理的な正額(正式な塩税)と盈余(塩政運営コストであり、中には生産コストと運輸コストを含む)の定額を削減せず、生産コストの自然上昇を無視して生産コスト支出の経費定額を固定化し、単に汚職によって生み出された巨額の欠損を免除せず、さらに生産コスト支出の経費が足りないままに通常の定額の生産と同時に欠損額の補償を長期間にわたって要求していた。その結果、市場需要を遥かに超えた過剰生産が長期間に続けられた。生産コスト支出の経費が足りない中で、官僚は生産・販売定額と欠損額の補償を完成するために大量に経費を流用や、密かな額外徴収などの不正行為を行っていた。不正行為が明らかになるとともに中央側の官僚に対する不信感はさらに深まり、中央側の官僚に対する運銷の催促と処罰が強化された。したがって官僚にかける圧力は倍増し、大量の塩を民衆に強制販売を行ったため、民衆の官僚に対する不満も累積し、嘉慶二年に民衆がついに反乱を起こした。本稿は財政制度における官僚の運用と中央政府の政策との関連を研究し、反乱を起こすまでの清代地方財政の構造的問題を説明する。

 

望月 直人「庇護権の陰で―20世紀初め、中国・ベトナム国境地域での事件を手がかりに」

 近年、一部の極端な右派や保守は、社会・民衆にリベラルは自分の過誤を認めない不誠実で進歩のない存在というイメージを流布しつつ、リベラルの過誤を扇情的に暴露・弾劾することで、自らの支持を広げている。今のような時代、自らの過誤と向き合い、それを糧とする姿勢をアピールするのも、リベラル派の歴史家にとって重要な責務であろう。
 フランス革命によって誕生し、19世紀に欧米世界で定着、現在でも国際法上の基本的な権利の1つとされる庇護権。しかし、この権利は用法を誤れば、犯罪者の国外逃亡さらには国際犯罪を助長するものとなる危険性を有する。では、歴史的に見て、庇護権の「悪用」・「乱用」とも言える事態がいつ、どのようにして起きてきたのであろうか。
本報告では、1907年、清朝と仏領インドシナ間の犯罪者引渡交渉を例にとり、庇護権(droit d’asile)が犯罪者の隠れ蓑になっていった歴史過程を描き出す。なかでも、(1)鉄道建設に必要な華人苦力を確保したいという仏印当局の思惑、(2)非ヨーロッパ外で活動した人権団体の関与にスポットをあて論を進めていきたい。

 

Zomia Study Group contacts: Koichi Fujita, Hisashi Shimojo, Mio Horie

詳細

日付:
2016/12/23
時間:
1:30 PM - 5:45 PM
イベントカテゴリー:

主催者

Shimojo Hisashi