2018年(平成30年)は、明治元年(1868年)から満150年の年に当たります。265年間続いた江戸幕府の崩壊とともに明治になり、日本は急速に近代化へ向かって歩み出しました。西洋から新しい制度、技術、思想を導入して、近代国家としての体裁を整え、殖産興業、富国強兵、文明開化を進めていきました。このように、明治時代は社会や人びとの暮らしの大変革期でしたが、現代も激動の時代と言われます。近現代の起点となった明治時代を改めて考えることは、私たちにも学ぶことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、明治150周年を記念して「明治の歩みを考える」をメインテーマとし、政治、経済、教育、美術、思想、文学等、さまざまな面から「明治」に着目してみたいと思います。
詳細・申込→
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/social/events_news/office/soumu/shogai/event/2018/190221_1330.html
【第1回】2019年1月31日(木曜日)
「記憶としての明治維新 -「明治50年」と「明治150年」のあいだで-」 奈良岡 聰智(法学研究科 教授)
2018年には、さまざまな「明治150年」関連行事が行われました。しかし、一口に「明治150年」といっても、行事のコンセプトやそれに対する批評は多様で、そこには人びとの明治維新に対する捉え方や歴史観の違いが反映していました。本講演では、「明治50年」以来、明治維新の記憶や顕彰のあり方がどのように変遷してきたのかをたどり、その意義を考えてみます。
【第2回】2019年2月7日(木曜日)
「国産初の長距離海底ケーブル、日本-台湾-中国大陸を結ぶ」 貴志 俊彦(東南アジア地域研究研究所 教授)
明治政府は、清やロシアとの戦争、台湾や朝鮮半島の植民地化などを経験するなかで、周辺諸国との関係を大きく変化させます。この講演では、明治日本が、通信自主権確立をめぐってイギリスやデンマークと交渉を進める一方で、日本本土、沖縄、台湾、中国大陸を結ぶ国産初の長距離海底ケーブルを布設した事実に注目し、通信からみる明治の形を考えてみます。
【第3回】2019年2月12日(火曜日)
「日本の近代美術 -西洋とのであい-」 高階 絵里加(人文科学研究所 准教授)
十九世紀半ば、国を開いた日本は、美術の分野においても本格的に西洋とであうことになりました。西洋絵画の考え方と描き方は、どのように日本にもたらされ、どのような絵画を生み出したのでしょうか。日本や海外で学んだ画家たちの体験と作品を通じて考えます。
【第4回】2019年2月21日(木曜日)
「「極東」から「極西」へ -「日本哲学」への序章としての明治-」杉村 靖彦(文学研究科 教授)
江戸末期の「開国」から半世紀、急激な西洋化の中で「哲学」が日本の地に移入され、その急ぎ足の摂取が一段落したところで、わが国最初の独創的な哲学書と目される書物が現れました。明治44(1911)年、西田幾多郎の『善の研究』です。この書を産み出した歴史的・地理的背景を文明論的に探りつつ、「日本哲学」にとって明治時代が持つ意味を考えてみます。