馬場 弘樹
部門・職位
環境共生研究部門 特定助教
専門
都市・不動産分析
研究分野 / キーワード
都市政策、縮退都市、共同住宅、住宅・土地制度、都市の魅力
研究概要
住宅データベースの構築と応用 |
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人々の住まいを多様な観点から分析するための住宅データベースの構築をしている。それにより、住宅の立地や規模、築年数、取引価格などの重要な情報を収集するとともに、一部では建物画像や室内間取りをはじめとする非構造データも取り入れ、多様な学問知を統合するためのデータ集約を図る。これまでに、民間企業がもつ不動産情報の重複統合技術の開発や、分譲マンションの包括的なデータベースを構築した。応用例として,旧耐震基準のマンションを対象に、その建替え傾向の分析や建替え確率を算出した。データ入手の容易さから日本国内を対象に行ってきたが、今後海外の不動産情報も収集するとともに、統一的な視点から住宅政策のあり方などについて比較分析したい。 |
都市の魅力評価 |
近代都市の多くは商工業の集積によって形成されてきたが、近年、商店やレジャー施設などのアメニティ集積の観点からも都市化の要因が説明されている。特に、リモートワークの機運の高まりを受け、都市は消費者側の観点から選択される存在となっている。そこで、2020年度では歩いていける範囲でのアメニティ集積を点数化したWalkability indexを開発し、日本国内における都市の魅力について分析を行ってきた。今後、このような分析フレームを海外都市にも適用し、人種、宗教、などの背景が異なる場合でのWalkabilityの指標化について知見を深めたい。さらに、Walkabilityが家賃に帰属すると仮定したうえで、住宅特性、地域的な社会経済特性を加味したうえで、対象とする地域が所得に比して適正であるのか、といった分析も併せて行いたい。 |
各国の住宅関連政策の調査と比較 |
住まいの形態は国ごとに異なり、その政策も法の考え方、政治情勢、建築材料などを反映している。それでも、各国の住宅関連政策に対して綿密な調査を行い、諸国間の相違点を整理して議論することは、今後の住まいへの理解を深めるうえで重要である。これまで、空き家政策に焦点を当て、ベルリン市において建物除却に関する政策レビューとフィールドワークに基づく跡地利用について調査・分析を行ってきた。同時に、日本とスペインの空き家関連政策についても、地方分権による権限の違いに着目して比較分析を行ってきた。上記のような知見をさらに蓄積させるため、欧米諸国以外の地域についても住宅政策をレビューし、人々の住まいにおいてどのような影響を与えているのか分析を進めたい。 |
建築年代別近畿圏30km圏分譲マンションの地理的分布(馬場ほか, 2020, CSIS Discussion Paper Series, 161, 図16を加工) |
ベルリン市において11階を5階に減築した建物の事例(アーティストによって壁画が描かれている) |