外部資金プロジェクト

外部資金プロジェクト

熱帯泥炭地域社会再生に向けた国際的研究 ハブの構築と未来可能性への地域将来像の提案

●総合地球環境学研究所との連携プロジェクト

インドネシア・リアウ州の村で村民と一緒に簡易ダムを造成

  東南アジアに広く存在した熱帯泥炭湿地林は、1990年代以降、大規模なアカシアやアブラヤシの植栽を目的とする排水により、乾燥化と荒廃化が進みました。その結果、泥炭地では火災が頻発し、煙害による甚大な健康被害と地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出が起こっています。本プロジェクトは、泥炭破壊をもたらした原因を、歴史的、政治経済的、生態的に明らかにし、その解決の方策を、政府や学界、NGOさらに地域の人びとと手を携えながら模索し実践します。そのため、これら泥炭社会の歴史的、社会的、生態的特質を明らかにし、住民が積極的に泥炭地回復に参加する方策は何なのかを検討します。そして、その方策の一つとして、パルディカルチュア(再湿地化した泥炭地における農林業)を実践し、乾燥・荒廃化した泥炭地の湿地化と回復をめざします。
  さらに、毎年発生している泥炭火災について、降雨―泥炭火災―煙害―健康被害の連鎖を明らかにします。また、この地域の住民が直面している、不確定な土地問題や土地紛争などの重要な問題について、社会林業など土地問題解決策を泥炭地回復プログラムと結びつけることにより解決を図ります。さらに、アブラヤシやアカシア植林拡大のもつ、地域的、政治経済的、生態的問題点、さらに日本などに輸出された後の消費にともなう問題点なども検討します。これらの過程で、環境脆弱社会の変容可能性を明らかにします。

http://www.chikyu.ac.jp/rihn/project/2017-01.html

サイクロン減災:「在地の技術」の技術移転に関する地域研究における社会実験的アプローチ

●科研費 挑戦的萌芽研究

バングラデシュのジャム川氾濫原に立地するD村での屋敷地(写真右の木々の植えられた人工の盛り土)
と水田の風景(2014年12月)。本プロジェクトではこの在地の技術をイラワジデルタで試行した

  2008年、サイクロンNargis がミャンマーを襲い、サイクロンや洪水への減災の備えが極めて貧弱な同国では約14 万人の死者を出しました。同じくサイクロンが常襲する隣国バングラデシュでは、「減災に関する在地の技術」が村落レベルで蓄積されていたため、被害が最小限に抑えられたと言えます。どの重要な問題について、社会林業など土地問題解決策を泥炭地回復プログラムと結びつけることにより解決を図ります。さらに、アブラヤシやアカシア植林拡大のもつ、地域的、政治経済的、生態的問題点、さらに日本などに輸出された後の消費にともなう問題点なども検討します。これらの過程で、環境脆弱社会の変容可能性を明らかにします。そこで本プロジェクトでは、サイクロン・洪水の減災に大きな効果を発揮しているバングラデシュの屋敷地をミャンマーに技術移転するという、臨地型地域研究を実施しました。地域研究と「社会実験」を融合させるというアイデアはまったく新しいものと言えましたが、ミャンマーのNGOとの協働によって、バングラデシュからの技術移転による「屋敷地」の造成を実現することができました。この成功にあたっては、バングラデシュの研究協力者による「屋敷地造成マニュアル」の作成とミャンマー現地NGOのFREDAによる現地住民との協働が実現できたことが大きいです。さらに日本人若手研究者によるミャンマー農村の植物資源の現状調査によって、造成された屋敷地の今後の利用可能性への展望も示されました。これらの成果は単に一地域での屋敷地造成を実現したことにとどまらず、ミャンマーにおける広範な「屋敷地造成」によるサイクロン減災対策の可能性を示す成果と言えます。(2018年3月終了プログラム)

https://pas.cseas.kyoto-u.ac.jp/activity/others_1/houga2829.html

JSTさくらサイエンスプラン

●日本・アジア青少年サイエンス交流事業

2018年度 フィリピンからの参加者と共に

  本研究所では、さまざまな招へいプログラムを利用して、国際交流を行っていますが、2014年度からは、JSTさくらサイエンス交流事業を利用して東南アジア諸国の若手育成を目的とした短期招へいプログラムを実施しています。JSTさくらサイエンスプランによる受け入れ実績は、2014年度はラオス、カンボジア、ベトナムの3回、2015年度はタイ、インドシナ3国の2回、2016年度はミャンマー、タイの2回、2017年度はマレーシア、2018年度はフィリピンの計9回、94名を数えます。

https://sakura.cseas.kyoto-u.ac.jp/

農山村学生実習のための「丹後アジア研修拠点」形成事業

●京都府1(ひと)まち1(ひと)キャンパス事業:2016-2019

宮津市上宮津での自治会の皆さんとブータン王立大学シェラブッチェ校の若手講師、学生および京大生(ILASゼミ)との意見交換会にて(2018年8月 上宮津公民館)

  「1(ひと)まち1(ひと)キャンパス事業(大学・地域連携プロジェクト支援)」は、大学などが京都府の市町村をフィールドとして取り組む授業や研究活動を支援する京都府の事業です。市町村と大学などの協力により、学生達が京都府全域をキャンパスとして地域社会の中で学ぶという経験を通し、地域を知り地域に貢献する人材へと育てることを目的とするものです。実践型地域研究推進室では2016年度より本事業の支援を受け、宮津市において、「丹後アジア研修拠点」の形成事業を行っています。
  過疎・農業離れ問題が顕著な地域である宮津市では、地元の農村環境や資源を活用した地域再生事業が行われてきました。本研究活動事業は、過疎化・若者の農業離れが進むブータン、ミャンマー、バングラデシュなどアジア諸国の大学やNGO等から招へいする教員、学生、関係者らと京都大学を中心とする学生達が「参加型農村調査」を実習することにより、国際的視野で過疎・農業離れの諸問題を捉え、問題の克服に向けた取り組みを地元住民との協働によって学ぼうというものです。
  活動報告のワークショップを開催し、アジアのグローバル問題として過疎・農業離れとその克服の意識化を図りながら、4年の事業期間(2016~19年度)を通じて、地元住民との協働活動に学ぶ農山村実習の「丹後アジア拠点形成」を実現することをめざしています。

https://pas.cseas.kyoto-u.ac.jp/activity/others_1/campus.html

研究