フラッグシッププロジェクト

多角的プロジェクト

日ASEAN協働による超学際生存基盤研究の推進

●京都大学機能強化経費事業:FY2016-2021

  日ASEANの協働をとおして、異分野・異業種の国際的な人材が集う超学際(トランス・ディシプリナリー)コミュニティの形成をめざすものです。自然と社会の多様性に立脚した生存基盤研究に取り組むことで、21世紀の人類社会の成長を支え、グローバルな喫緊諸課題に対処することを目的としています。

https://japan-asean.cseas.kyoto-u.ac.jp/

日ASEAN科学技術イノベーション共同研究拠点-持続可能開発研究の推進(JASTIP)

●JST国際科学技術共同研究推進事業:2015-2020.8

  本事業「日ASEAN科学技術イノベーション共同研究拠点-持続可能開発研究の推進」(JASTIP)は、2015年度採択のJST国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム) 「国際共同研究拠点」のもと実施するプロジェクトです。

http://jastip.org/

共同利用・共同研究拠点

  京都大学東南アジア研究所と京都大学地域研究統合情報センターの統合にともない、旧東南アジア研究所において実施されてきた「東南アジア研究の国際共同研究拠点」の諸活動は、京都大学東南アジア地域研究研究所内に設置されたIPCR(International Program of Collaborative Research) センターが、同様に、旧地域研究統合情報センターにおいて実施されてきた「地域情報資源の共有化と相関型 地域研究の推進拠点」の諸活動は、東南アジア地域研究研究所CIRAS(Center for Information Resources of Area Studies)センターが、引き継ぎます。

東南アジア研究の国際共同研究拠点(IPCR)

https://ipcr.cseas.kyoto-u.ac.jp/

地域情報資源の共有化と相関型地域研究の推進拠点(CIRAS)

https://ciras.cseas.kyoto-u.ac.jp/

研究プロジェクト

ビジュアル・ドキュメンタリー・プロジェクト(VDP:Visual Documentary Project)

2018年度ビジュアル・ドキュメンタリー・プロジェクトに参加した監督たち

  本研究所は2012年にVisual Documentary Project(ビジュアル・ドキュメンタリー・プロジェクト)というプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトの主な目的は、東南アジア地域の若手映像作家が、彼らの目をとおして見たもの、心で感じたもの、また体感したものを、ドキュメンタリー映像という形で表現するプラットフォームの提供です。
  本プロジェクトでは、毎年新たなテーマを設定し、東南アジア諸国から映像作品を公募しています。応募作品から5作品を選出し、制作に当たった監督を招へいして上映会を開催することで、東南アジアの社会全体が抱える諸問題を多角的な視点で捉え、議論を深める場を提供しています。2014年度からは、国際交流基金アジアセンターも共催者として加わり、近年では京都国際映画祭(KIFF)、カンボジア国際映画祭CIFF)、ボパナ視聴覚リソースセンター(Bophana Center)と連携するなど国内外で本事業のプレゼンスを高めています。

https://vdp.cseas.kyoto-u.ac.jp/

地域情報学プロジェクト

  旧地域研究統合情報センターでは、2017年に旧東南アジア研究所と統合する以前より情報学の手法を応用し、地域研究の新たな可能性を開こうとする地域情報学プロジェクトを進めてきました。その成果はデータベースやシステムツールとして構築され、本研究所ホームページから参照できますので、ぜひご利用ください。

https://ciras.cseas.kyoto-u.ac.jp/databases/shiryou/

アジア環太平洋研究推進プラットフォーム形成プロジェクト

太平洋研究ハブ形成プロジェクト現代メキシコセミナーにて(2017年11月 京都大学)

  2010年代に入り、世界の秩序は混迷の度合いを深めています。こうした無秩序化は、政治、経済、社会、文化のみならず、環境、エネルギー、疾病といった自然科学の分野にいたる様々な位相(aspects)を貫いて表出しています。特に、我が国の将来を大きく左右するアジア環太平洋地域(東アジア、東南アジア、オセアニア、南北米大陸)は、そうしたグローバル秩序変動が如実に表出している地域です。
  アジア太平洋地域では、17世紀以降のヨーロッパで進展した国際関係の制度化のような現象は観察されてきませんでした。ヨーロッパでは、大国を中心とするパワーポリティクスと階層化の一方、各国の主権の平等を原則とする国際関係の制度化が進みました。アジア環太平洋地域は、中国を頂点とする朝貢体制が19世紀の帝国主義の時代に崩壊して以降、列強による支配と対立を経て、第二次世界大戦後には東西冷戦のもとで暫定的な安定状態が醸成されました。朝鮮戦争の休戦協定が今日に至るまで存続し、日本とロシアのあいだに平和条約が締結されていない状態が続いている、といったことは、そうした暫定的かつ不安定なアジア環太平洋地域の現状を象徴的に示す例です。そうした暫定的な状態は、今世紀に入り、各国の国家社会関係の変動の影響を受け、加速的に不安定化しています。20世紀の歴史的な展開をふまえつつ、今世紀の秩序の「具体的なあり方」と「構築の方向性」を指し示す総合的・学際的な研究考察への社会的要請が湧出しています。
  一方、京都大学では、アジア環太平洋の個別地域・領域の専門家は数多くいるものの、この広大な領域を相互につなぐ研究者のネットワークは脆弱でした。そこで、上記の社会の要請に応える総合的かつ実効的な知見を提示しうる研究を推進するためのプラットフォームの構築をめざすのが本プロジェクトです。アジア環太平洋地域に関する課題についての研究事業を企画・実施する活動によって、関連部局のあいだの連携を強化することが当面の活動の中心です。将来的には、学内のプラットフォームを基盤として、学術と政官財―市民社会―マスメディアを繋ぐ「社会に開かれた学術ネットワーク」の構築を行いたいと考えています。

http://www.lafky.cias.kyoto-u.ac.jp/

「災害対応の地域研究」プロジェクト

インドネシア・アチェ州のシアクアラ大学で年2、3回特別セミナーを実施している(2018年1月)

  災害は、平常時から切り離された特別な時間・空間ではなく、その社会が平常時に抱える潜在的な課題が極端な形であらわれている状態です。したがって、災害からの復興とは、被災前の状態に戻すことではなく、被災を契機に明らかになった社会の課題に働きかけ、よりよい社会をつくることです。そのような創造的復興を可能にするためには、災害による被害を技術によって抑え込みさえすればよいと考えるのではなく、災害が発生したときに社会が柔軟に対応するという社会のレジリエンス(打たれ強さ)を高めることが大切です。また、被災社会が被災前にどのような状況にあり、どのような課題を抱えていたかを知ることも大切です。災害対応の現場では地域の事情に根差した防災や復興が求められており、地域研究の観点が不可欠です。個別の災害対応の現場における経験を結びつけ、そこから一般性と個別性を抜き出し、将来の災害対応に備えることで、災害発生時の被害をなるべく小さくするとともに、生じてしまった被害からの立ち直りを支援し、その過程を通じてよりよい社会の実現をめざすことです。「災害対応の地域研究」の意義はここにあります。
  世界の国々が経済活動による結びつきを強め、国境を越えた移住者や旅行者が増えている今日、自然災害による被害は、直接の被災国に留まらず、国境を越えて及びうります。また、自然災害が起こると、国境を越えて支援が行われます。災害による被害とその対応が一国の中だけで済まなくなっている状況で、世界各地の社会に通じている地域研究の知見はますます重要性を増しています。その一方で、従来の地域研究は、特定地域の固有性を解明することに重きを置くあまり、その知見を地域や時代を越えて他の専門家に利用可能な形で提示することに十分に力を注いでこなかった側面もあります。「災害対応の地域研究」では、災害対応の現場での防災・人道支援の実務者との連携や、近年進展が著しい情報技術の利用などにより、異業種・異分野の専門家に開かれた「地域の知」の創出をめざします。
  本研究所では、その前身である地域研究統合情報センター時代から、共同研究や出版、教員による研究活動など、さまざまな形で災害対応の地域研究のあり方を考え、実践してきました。2011年度からこれらの活動を統合して「災害対応の地域研究」プロジェクトとして実施しています。2015年度から2017年度までの3年間には、日本学術振興会の拠点形成事業により、人文社会学の観点から災害対応・復興に関心をもつ東南アジアの大学・研究所と共同研究を行い、災害対応研究のネットワークを形成しました。2018年度以降、ネットワークの更なる拡充をめざすとともに、災害対応の地域研究で得られた知見の災害対応以外の研究分野への適用を試みています。

http://personal.cseas.kyoto-u.ac.jp/~yama/bosai/

関連サイト

「アジアの防災コミュニティ形成のための研究者・実務者・情報の統合型ネットワーク拠点」
●日本学術振興会(JSPS) 研究拠点形成事業 B.アジア・アフリカ学術基盤形成型:FY2015-2017

研究