The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Kenta Kishi 岸 健太

Kenta_Kishi

Kenta Kishi
岸 健太

建築家
LWL (Lab for the WonderLandscape) 代表
OHS(Orange House Studio) 共同代表


http://orangehousestudio.org

プロジェクトのテーマ

“Master Planning” vs “Networking” Approaches to Solve Contemporary Urban Crises in Asian Cities.

現代アジア都市の公共空間の再生産の可能性を担う、都市集落住人による空間の私的占有と共同体への貢献のフィードバックについての調査

プロジェクト概要

インドネシア東ジャワ州スラバヤ市の都市集落(Kampung)における居住民による公共空間(協働的な空間)のインフォーマルな私有化の事例の調査をとおし、従来の都市開発手法であるマスタープラニングとは異なる、アジア都市に可能なオルタナティブの都市生成の手法を検討する。

研修国

インドネシア

自己紹介

「都市はどのように表わされるか」という関心の中に、建築家としての活動の手掛かりを見つけています。

国内外のどこでも、他の都市を訪れる機会があれば、人が集まり暮らす空間を訪ねて歩きます。世代を重ねた都市集落だけではなく、新しい都市移民たちが生活する場所やインフォーマルな土地占有による仮設的な居住地、あるいは郊外に造成された新興住宅地や都心部の高層コンドミニアムなどの、さまざまな「普通の場所」が都市にはあります。

このような「普通の場所」の空間は、内容や規模の違いこそあれ、住民達により生活の必要に応じてカスタマイズされ、使用されながら更新され、やがて無数の役割・価値・意味・記憶で埋め尽くされてゆきます。都市計画が上方から提供する都市空間とは異なる、居住者自身の空間への参加により「適正な場」が実現されるこのような都市生成の日常の現場のなかにこそ、その都市の固有性・独自性を確認できると考えています。

私たちが一般的に都市だと考える社会的空間は、イデオロギーや経済力の表徴として形作られてきましたが、それとは異なる多様なオルタナティブの都市生成の可能性を想像するために、建築、社会学、アートなどの異なる領域の重なりの中から都市を知り、そしてそれを表現し直す試みを続けています。

略歴

建築家:1969年東京生まれ。東京藝術大学美術学部建築科を卒業後、Cranbrook Academy of Art (ミシガン・米国) 修了。シンガポールの複数の教育機関で実験的なデザインスタジオを指導した後、1999年より日本での活動を開始。2003年より、都市・建築・デザイン・アートの領域を横断する活動拠点として「LWL -Lab for the WonderLandscape-」を主催している。近年は、インドネシア・スラバヤ市を対象に、新興都市の変化の過程に着目する調査と表現の活動に、現地市民や様々な専門家とともに取り組んでいる。スラバヤでの都市研究組織「OHS -Orange House Studio-」共同代表。