The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Toshiaki Takasago 高砂 利章

高砂 利章

Toshiaki Takasago
高砂 利章

NGOマイニャーベトナム 事務局長
長野県ベトナム交流協会 理事

プロジェクトのテーマ

国際援助における伝統文化の新しい可能性の評価

プロジェクト概要

日本の地方物産である「そろばん」を利用した日本の小さなNGOによるタイにおける支援活動を検証することで、衰退する先進諸国の伝統文化の新たな可能性を探る。

研修国

タイ

自己紹介

現在の仕事上の取り組み

対人口比率で東京に次いで全国で2番目。長野県の深刻なHIV感染状況が現在の大きな取材テーマとなっています。感染の広がりをいかに阻止するかということとともに、重点的に取材を行っているのは県内・国内でエイズを発症した外国人をめぐる問題です。多くの場合はタイ人なのですが、彼ら彼女らの多くは保険に加入していないうえに日本の滞在ビザが切れていることが多く、医療に関する情報を得る方法も限られている。現在では医療の進歩によりきちんと治療を受ければエイズはタイでも日本でも命を落とすことはまれなのですが、いまだに「エイズは死に至る病」と考え、検査を受けないまま重症化することや、帰国しても適切な治療を受け入れずに死に至るケースも少なくない。こうした患者感染者に適切な情報を提供し、帰国のためのサポートを行っているNGOの活動の取材に力を入れている。

その後の「そろばんプロジェクト」

APIフェローとしてタイで1年間、調査を行った「そろばんプロジェクト」ですが、ちょうどタイに滞在していた際に進められたタイ政府による大規模な教育改革に伴い、いったんは決まったタイ全土の義務教育にそろばんを組み入れるという方針が、完全に撤回されました。さらにこのプロジェクトを進めるうえで2つの大きな車輪のうちのひとつだった、島根県横田町が合併により大きな市に組み込まれ、この町独自の国際的な取り組みから撤退してしまいました。

それでもプロジェクトを進めてきたNGOではそろばんの導入に積極的なラオスに広めようと、これまでの取り組みのなかで指導技術を学んだタイの先生をラオスに派遣し、この国の算数の先生を対象にしたそろばん研修を開催。今年も夏に実施されます。 またタイの先生たちも引き続き自分たちの地元で指導を続け、日本では学校教育の現場から姿を消したそろばんが、タイ東北部の小さな学校でカリキュラムに組み込まれていたり、南部のムスリムの子供たちが私塾で学んでいたりしています。