The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Akiko Tashiro 田代 亜紀子

田代 亜紀子

Akiko Tashiro
田代 亜紀子

北海道大学大学院
国際広報メディア・観光学院
准教授


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プロジェクトのテーマ

文化伝統と地方のアイデンティティ形成過程:タイ東北部の事例研究

プロジェクト概要

タイ東北部の文化遺産の保存を通じて地方のアイデンティティの形成過程を探り、伝統保存を通じていかに地方のアイデンティティに文化政策が影響を与えるかについての理解を深める。政策の研究と、文化遺産を取り巻く地方の人々および政策策定関係者への聞き取りの2つの手法をとる。

研修国

タイ

自己紹介

これまでの活動と調査研究

これまでは、文化遺産保存活用と地域社会の関係に焦点をあて、インドネシア、カンボジア、タイにおいて調査をすすめてきた。8世紀~9世紀の建立とされる仏教遺跡ボロブドゥール遺跡は、1991年登録以降は世界遺産として、また、多民族国家インドネシアにおける「インドネシア国家文化遺産」として、現代イスラーム社会のなかの仏教遺跡として、多義的に保存活用されてきた背景をもつ。一方、アンコール遺跡群はカンボジアの主要民族であるクメール民族の遺産として保存され、その中心遺跡であるアンコール・ワットは常にカンボジア国旗にその象徴として掲げられており、信仰の場所、地域住民の生活の場であると同時に、現在は年100万人以上の観光客が訪れる国際観光地である。APIフェローシップによる調査では、東北タイに位置するクメール民族の遺跡である3遺跡(ピマーイ遺跡、パノム・ルン遺跡、ムアン・タム遺跡)においてインタビュー調査をおこない、タイ国家プロジェクトとして保存修復が実施され、遺跡が保存活用されてきた背景を探った。

今後の活動予定

現在は、これまでの調査研究をまとめた博士論文を執筆しながら、アソシエイト フェローとして、奈良文化財研究所で調査研究をすすめている。研究所では、国 際遺跡研究室に属し、主にベトナムにおける出土木製品保存事業、ミャンマーに おける考古学事業、イ ンドネシアのスマトラ島パダンにおける町並み保存事業 などを担当している。

出版

田代亜紀子「アンコール遺跡と地域社会」『アンコール・ワットを読む』連合出版、2005年、pp.369 - 386