The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Kensuke Yamaguchi 山口 健介

山口 健介

Kensuke Yamaguchi
山口 健介

チュラロンコン大学エネルギー研究所
客員研究員


http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/SEPP/index.htm

プロジェクトのテーマ

タイ北部の水紛争:水量不足が主な原因なのか?

プロジェクト概要

近年、アジアの熱帯地域で水紛争が頻発している。このプロジェクトでは、タイ北部・メティア流域における紛争を中心に取り上げる。同地域の現地調査を通じて物質的のみならず社会的に、水紛争の真意を理解することが目的である。

研修国

タイ

自己紹介

第4期フェローの山口健介と申します。チュラロンコン大学のエネルギー研究所で客員研究員をしております。現地の方々の視点をベースに、(エネルギー)資源の活用が社会に及ぼす影響を学んできました。こうした興味を持つようになっ たきっかけがAPIフェローシップでした。北タイの水紛争を事例とした9カ月のフィールドワーク中に、水の稀少化ーー資源ーーが北タイの村人の関係性ーー社 会ーーに及ぼす影響に興味を持つようになりました。

フェローシップ後、世の中で、シェールガス革命があり、フクシマの事故があ り、中東の地政学的リスクが再認識されるようになり、資源の中でもエネルギー 資源に興味を持つようになりました。「エネルギー資源は社会をどのように変容 させてきたのだろう。」という疑問に対しては、「資源の呪い」論が学会では良 く知られているそうです。ここでは、「豊饒な資源が低開発を導きがちである」 とする、一見直感と反するパラドックスが注目されてきました。が、そうなって いない社会も確かに存在します。

「資源の呪いを回避し、逆に祝福されるための条件」は何か。タイは1980年代以 降の天然ガス開発と経済成長をみると、一見エネルギー資源に祝福された貴重な 事例にも見えます。ただ、手放しの祝福なのか、祝福は永遠に続くのか、といっ た声が皆無というわけでもありません。この点を、現地で深掘りしてみて、「資 源の呪いを回避し、逆に祝福されるための条件」に示唆を導出してみたいと思っ ています。以って、ミャンマーなど後発国のエネルギー資源利用の糧にもなるこ とを願っています。