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Junko Sato 佐藤 純子
Junko Sato
佐藤 純子
大阪経済法科大学
アジア太平洋研究センター(CAPP)
客員研究員
プロジェクトのテーマ
労働者の抱く「適正な仕事」の概念: 女性労働者のアイデンティティーとよりよい労働条件についての事例研究
プロジェクト概要
労働者のアイデンティティーと労働者自身が描く「適正労働」との関係を探求する。染色産業(ろうけつ染め)における女性労働者の現実を例にとり、労働者がより質の高い生活を思い描けることを支援する基礎としたい。
研修国
インドネシア
自己紹介
API Fellowshipsでの活動
2005年7月から2006年5月まで、インドネシアの中部ジャワ、ジョグジャカルタ市近郊において、バティックという布の柄を描く仕事をする女性たちが、どのような労働条件を望んでいるのか調査しました。生活が仕事にのみこまれるような働き方とは対照的に、彼女たちは生活の中に必要なだけの仕事を持ち込むような働き方をしており、居住地でのゆるやかな相互扶助ネットワークを活用し、家事労働と育児や経済活動を行っていたのが、印象的でした。
現在までの活動
2006年6月から12月まで、中部ジャワ地震の復興支援活動をする日本のNGOのお手伝いをしました。現地NGOを活動実施団体とした子どもの教育活動と、仮設住宅建設、医療衛生活動を中心に、ジョグジャカルタ農村部における人々の相互扶助の強さを実感しました。また、ジョグジャカルタでのバティック工房の経営と労働者の職業選択に関する調査を2007年3月まで継続し、2007年4月に東京大学大学院総合文化研究科に復学、単位取得満期退学後、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センターに客員研究員として所属、現在博士論文を執筆中です。
関心と今後の抱負
APIプロジェクトから出発した手描きバティック労働者の労働観理解は、引き続き多くの問題を提起します。現在興味を持っているのは、労働と賃金の交換の意味についてです。他のバティック工房との比較から、労働と賃金の交換が文脈により違う意味を持ち、貨幣の多様な使用方法と意味が見えてきました。また新たな労働・生産組織方法の試行をはじめた工房もあり、産業と労働者へと及ぼす変化に引き続き注意したいと思います。
このジャワでの経験はまさに自分個人の実生活にかかわる問題を照射するため、現代の日本における働き方や、全人格的な共同性について考えさせられる日が続いています。またバティックの文様を描くことのような言語を介さない表現によるコミュニケーションや、コミュニケーションに至るまでの学習過程、学習過程の中にある身体的知覚と認知の多様性にも関心を寄せています。学習過程の中に見られる個々の反応や相互作用が持つ豊かさそれ自体に自分が感銘を受けることも多いため、その感銘を伝える方法を自分も見いだしたいという抱負を持っています。APIフェローシップのフェローたちの活動の中から、言語を超えた伝達方法やその可能性を学びたいと期待してます。