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Akiko Morishita 森下 明子
![森下 明子](images/morishita.jpg)
Akiko Morishita
森下 明子
京都大学
学術研究支援室
リサーチ・アドミニストレータ―
プロジェクトのテーマ
インドネシアとマレーシアの地方政治に関する比較研究
プロジェクト概要
本プロジェクトでは、1998年に地方分権を行ったインドネシアと、独立以来連邦制 を敷くマレーシアにおいて、現在どういったタイプの人々が地方の政治・経済的利権 を握っているのか、また、彼らはどのようにして政治・経済的に台頭してきたのかに ついて、調査・分析を行う。これらの地域はいずれもボルネオ島に位置し、森林資源 や鉱物資源が豊富である。ここでは、こうした天然資源をめぐって、中央と地方の政 治家や実業家が剥き出しの利権争奪を行っている。こうしたことから、これらの地域 の政治を観察することで、中央・地方の政官財の癒着の構造が明らかになり、インド ネシアとマレーシアの政治・経済的権力構造の実態を探ることができると考える。 また、すでに現地での調査期間は終了したが、調査で得られたデータをもとに、 上で述べたことに加え、政治体制の異なる両国家の資源分配・再分配システムの利点 と問題点についても考察したい。
研修国
マレーシア・インドネシア
自己紹介
APIフェローとしてマレーシア・サラワク州で調査をする以前は、博士論文の研究テーマとしてスハルト体制崩壊後のインドネシア地方政治研究に取り組み、森林資源やプランテーション、石油・天然ガス、石炭といった鉱物資源が豊富なカリマンタンを事例に調査・研究を行ってきた。そのなかで、カリマンタンで近年深刻化している違法伐採や暴力的住民動員といった問題が、地方官僚や政治家、地元実業家たちによる資源アクセスおよび資源分配・再分配のあり方に深く関係していると考えるに至り、これを博士論文で分析した。
こうした資源と政治の問題はおそらくカリマンタンに限らず、とくに天然資源が豊富な地方では国家の枠組を超えて共通する特徴があるのではないか、また違いがあるとすれば、そこから各国家の資源をめぐる政治システムの特徴が見えてくるのではないだろうかと考え、APIではカリマンタンと同じくボルネオ島に位置し、カリマンタンと同じように森林資源やプランテーション、石油・天然ガスなどの鉱物資源が豊富なマレーシア・サラワク州の政治・経済利権構造について調査を行った。またサラワク州の大学関係者やNGO活動家たちと交流し、隣接するインドネシア・カリマンタンの違法伐採や暴力の問題にどの程度の興味・関心を持っているのか、サラワク州ではどういった政治・社会問題に注目が集まっているのかについて、意見を聞いた。
今後も引き続き資源(特に森林資源)と政治の問題について取り組み、かつて林業が盛んであったマレーシア・サバ州とフィリピン南部の地方政治について調査・比較研究を行う予定である。地方政治の視点からインドネシア、マレーシア、フィリピン各国家の資源をめぐる政治・経済権力構造を明らかにするとともに、同地域の有識者たちと違法伐採や暴力、不平等な資源再分配などについて問題意識を共有したい。