The Nippon Foundation Fellowships for Asian Public Intellectuals


Shigeaki Iwai 岩井 成昭

岩井成昭

Shigeaki Iwai
岩井 成昭

秋田公立美術大学
美術学部ビジュアルアーツ専攻
教授

プロジェクトのテーマ

「家族に関する日常と非日常の境界」

現地ワークショップを実践し記録することで構成される、セミ・ドキュメンタリー映像作品の制作

プロジェクト概要

「家族に関する日常と非日常の境界」をテーマに、フィリピン、タイ、インドネシア各国において、一般参加者を含む協力者と映像制作ワークショップを実施。それらの記録素材を通して各国における「家族」という概念の変化と普遍性を考察する。文化が生活レベルで変容していく諸相として、文化的精神と現実世界のせめぎあいが「日常と非日常の境界線上」において顕在化されると仮定し、言説化されにくい潜在的な心理や雰囲気の映像化を試みる。

研修国

タイ、インドネシア、フィリピン

自己紹介

美術家として活動しています。表現メディアは音響・映像・テキスト・インスタレーション・パフォーマンスなど多岐にわたりますが、「多文化社会における地域と個人の関係性」を基本においています。近年は特定地域のコミュニティーに一定期間滞在して、自身を「旅行者」と位置づけた上で共同体との関係作りを模索し、その過程で得られる諸問題を視覚芸術の領域で表現しています。

アジア地域のコミュニティー・アートも研究課題のひとつです。欧米ではマイノリティーが社会的に認知されることからコミュニティー・アートが活性化されるに至りましたが、特筆すべき点として、多様な教育水準の市民が公共問題を議論する中で、言説の優越を越えた意思表示の方法としてアートが優れて機能したことがあげられます。そして、東南アジアには同様の機能をもつアートが必ずしも欧米と同じではない土壌から形成されているようです。コミュニティーの中に潜在するにも関わらず言説として浮上しにくい要素を視覚化、顕在化させる事で社会に対し一定の発言力を持たせること - 東南アジアにおけるその成立過程と手法を調査し、自身の表現へ参照していきたいと思います。