第40回 東南アジアセミナー: “The Promise and Challenge of Democracy in 21st Century Southeast Asia”(ミャンマー、ヤンゴン、2016年11月19-22日)

日時:2016年11月19-22日
場所:ミャンマー、ヤンゴン

2016年11月19日から22日にかけてミャンマーのヤンゴンで第40回東南アジアセミナーを開催しました。同セミナーは京都大学東南アジア研究所とヤンゴン大学との共催で、文部科学省・特別経費「東南アジアにおける持続型生存基盤研究」と日本学術振興会・研究拠点形成事業(B. アジア・アフリカ学術基盤形成型)の支援を受けました。

東アジア、東南アジアから22人の主に大学院生が参加し、4日間にわたって、東南アジアにおける民主主義の可能性と限界について、講義、ドキュメンタリー映画鑑賞、フィールドワーク、グループ・ディスカッション、グループ・プレゼンテーションを行いました。プログラムは下記のリンクにあるとおりです。

第1日目と2日目はキーノート・スピーチと一連の講義を行いました。キーノート・スピーチではミャンマー連邦議会の前下院議長であるシュエマン氏をお迎えし、体制移行の最中にあるミャンマーの現状と自身の経験について講演を聞きました。講演後には40分にわたって質疑応答の時間を持ち、参加者の学生たちからシュエマン氏に対して多くの質問が投げかけられました。その後の講義では全体を3つのパートに分け、政治、資源管理、市民社会といった観点から、東南アジアにおける民主主義の現状について専門家の講義と質疑応答が行われました。参加者たちと専門家とのあいだで活発な議論が交わされました。

2日目の夜にはドキュメンタリー映画の鑑賞会を開き、ミャンマーに関する2つのドキュメンタリー作品を参加者と監督を招いて鑑賞しました。同国の民主化運動によって息子を失った母親の生活と語りを中心に構成された作品と、翡翠鉱山の労働者の様子を丁寧に描写した作品でした。作品鑑賞後には監督と参加者たちの質疑応答があり、作品の背景や制作過程についても議論が及びました。

3日目はヤンゴン市内でフィールドワークを行いました。まずヤンゴン地域政府を訪問し、地域の知事(Chief Minister)であるピョーミンテイン氏と意見交換をしました。その後、ヤンゴン地域議会の議事堂を見学しました。議会の議長も参加者たちとの交流に参加しました。その後、国民民主連盟(NLD)の本部を訪問し、参加者たちによる元政治囚へのインタビューが行われました。多くの苦難を経験してきた政治囚たちの言葉に参加者たちは耳を傾けていました。最後にThe Irrawaddyの編集室を訪れて、編集者から現在のミャンマーのメディアの役割について話を聞きました。

4日目はグループワークとプレゼンテーションを実施しました。初日に割り当てられた質問を、各グループがポスターを作成して検討するというものです。各グループが各自議論をして報告内容をまとめ、その後、工夫を凝らしたプレゼンテーションを行いました。

4日間という短い期間ではあったものの、東南アジア諸国が抱える民主主義の希望と困難について広く知り、すべての参加者が議論し、体験をする貴重な場になりました。ミャンマーは今、軍事政権から民主化へと一歩踏み出した移行期にあり、そうした国で開催したことの意義は大変大きなものがありました。

program (PDF File) >>

詳細>>http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/event/20161119%E2%88%9222/#20161119%E2%88%9222_report