毎年恒例の、CSEAS研究集会Weekが、2020年2月15日~19日に開催された。コロナ禍のため、今年度の研究集会はすべてオンラインによる開催であった。その最初のイベントが、CSEASワークショップであった。
2020年度のCSEASワークショップは、全体テーマを「文理融合研究の将来を見据えて」とし、2021年2月15日に開催された。本研究所の所員が行う研究の課題やアプローチが多様化する中で、互いの活動を知ることを通じて文理融合研究の面白さを共有し、今後、当研究所が向かうべき方向を議論するための第一歩とすることを目的としている。今年度のプログラムは以下のようであった。
プログラム
趣旨説明:柳澤雅之
山本博之「マレー世界における情報メディアと社会秩序」
“Information Media and Social Order in the Malay World”
帯谷知可「中央アジアを越えてロシア帝国発ムスリム女性解放論をたどる旅―空間、つながり、共振」
“A Journey beyond Central Asia, Following the Traces of Muslim Women Liberation Discourses within the Russian Empire: Space, Linkages, and Resonances”
坂本龍太「目の前の一人からはじまる研究」
“Research that begins from those in front of us”
コメント:マリオ・ロペス、石川登
総合討論
各報告の要旨は以下から参照可能である。
https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/event/20210215/
話題提供者の三人の発表は、専門分野も対象とする地域もまったく異なるにもかかわらず、現場の様々な事例や経験から追いかけている課題を追求するプロセスを、ワクワクするような知的興奮に満ちたプロセスとして提示した。聴衆は、専門分野をこえて聞き入り、発表者と共に探求の旅を経験することができた。コメンテータの二人は、異なる話題の中から学際研究に関連した共通の課題を見出し、普遍的な課題として提示し、議論の射程を大きくひろげた。一般的に考えれば、同じ研究所に所属する同僚を聴衆とするような研究会は、専門性が高く、所外の人が参加するにはハードルが高いと映るかもしれない。しかし、本ワークショップでは、当研究所スタッフの研究活動の多様性を反映し、専門分野に特化するどころか、むしろ逆に、異分野の研究者に理解してもらうため、使う言語や論理は、わかりやすくすることに意を砕いていることがよくわかる。ぜひ、所外のみなさまにも奮ってご参加いただければと考えている。
なお、今年度は新たな試みとして、日英同時通訳を導入した。所内外のより多様な人たちの参加を考慮してもことであった。コロナ禍でのオンライン研究会を通じた国際化を進めるための有効なツールであると考えられた。