コロナ禍により移動が厳しく制限されて長い2年が過ぎました。そうした中で調査研究上の様々なオルタナティブを模索しつつ、フィールド調査地との関りを問い直す機会も与えられました。それを通じてやはり当研究所の強みも今後歩むべき道も、新しい情報活用の道を開拓しつつ、研究対象地域にコミットして、現地の研究者や当事者と共に問題解決に向き合う多分野融合研究であるという意を強くしました。
この様な状況にあって外国人客員や研究員の出入りが極端に制限されていた中で、分野も国籍も多様な若手教員・研究員の皆さんが、研究会や様々な場面で活気をもたらしているのは楽しくありがたいことでした。昨年10月には新任の土屋喜生氏を助教として迎えることができました。このポストは、学内の若手重点戦略定員に地域研究学系として申請して獲得したもので、学系としては「GYSF(Global Young Scholars into the Future)助教」として、任期中に1年間海外研修をする制度も付帯させたポストです。国際公募に基づく審査を経て着任した土屋さんは、インドネシアや東ティモールなどの現地を歩く近現代史研究者です。
2月には、今年度で最期となる二つの共同利用共同研究拠点「地域情報資源の共有化と相関型地域研究の推進拠点(CIRAS)」と「東南アジア研究の国際共同研究拠点(IPCR)」、旗艦プロジェクトとしての「日ASEAN協働による超学際生存基盤研究の推進」の報告会を開催しました。当研究所の拠点活動に関わってくださる所内外・国内外のいろいろな声を聴くことができました。4月からは、統合した一つの拠点「グローバル共生に向けた東南アジア地域研究の国際共同研究拠点(GCR)」が始まります。これまでのCIRASとIPCRに引き続き、ぜひこちらも皆様のご協力と活発なご参加をお待ちしております。
私は3月をもって4年間の任を終え、4月からは三重野新所長を迎えます。コロナ禍によって閉じられた扉が開かれ、新たに皆がフィールドで活躍できる日々が再開し、当研究所の新たな歩みが実り多いものとなりますように希望し、皆様の引続きのご協力をお願い申し上げます。