東南アジア大陸山地部の 社会経済ダイナミズム ──駆動力としての多言語ネットワーク
研究代表者: バデノック・ネイザン
期間:2011-13年度
概要:
経済や自然環境の変容が急速に進む中国・ラオス国境地帯では、複雑な多言語景観が見られます。多民族国家ラオスにとって、この社会的多様性は、乗り越えなければならない障害なのか、それとも社会のレジリエンスのカギなのか?この地域は東南アジアの山地部の典型であり、民族ごとに言語・風習も異なるため、一見まとまりがないように見えます。しかし少数民族が過半数を占める現地社会の日常生活においては、多言語使用が当然であり、そのマルチリンガリズムこそが地域社会をまとめているという見方もできます。村人自身、「いくつもの言語を話すことが先祖代々伝わってきた生存戦略である」と語るように。研究の関心は、希少言語の消滅の過程よりむしろ、現代社会における言語多様性の価値・意義の探求にある。グローバリゼーションが新しい可能性やリスクをもたらす状況下での地域住民の生活・生業における言語使用の動態や傾向を分析することにより、社会経済ダイナミズムの駆動力としての多言語社会のあり方を考察します。