研究関心：

1. インドネシアにおける泥炭湿地における大規模プランテーションの持続性に関する研究
2. 水循環と人間活動の相互作用に関する研究

研究概要：

　　熱帯地域には，豊富な太陽エネルギーと降水量によって保持される熱帯雨林が広大に存在するが，近年，この地域の森林面積は減少の一途をたどっている．急速な熱帯雨林の開発の結果，本来不向きであった泥炭湿地林にも開発が及んでいる．近年、熱帯における最後のフロンティアであったインドネシアの泥炭湿地林が大規模に皆伐され，アブラヤシ・プランテーションやパルプ原材料を供給するユーカリやアカシアの林業プランテーションに土地利用の転換が進んでいる．泥炭地開発の問題点としては，土壌が水で飽和している状態から排水路を張り巡らせることで水循環を改変することである．排水によって泥炭湿地は乾燥化し、土壌中に大量に蓄えられた有機物が分解され，乾燥に起因する火災が頻発している．
　これほど大規模な土地利用および地表面の改変は，不可逆的な変化を引き起こす可能性がある．しかもインドネシアの多くの島と，それらを取り囲む浅い海は，海洋的とも大陸的ともいえない独特な自然環境を形成しており，海洋大陸と称される．海洋大陸はインド洋と太平洋の温かい海洋上に位置しており，その地域の強い対流加熱がインド洋と太平洋をまたがる地域の大気循環において重要な役割を果たすほか，熱帯におけるそのほかの循環に関しても一定の影響を与えている地域である．このような地球圏の複雑なシステムにおいて，陸域におけるプロセスはこの地域のサステイナビリティーを議論するうえで重要であり，大気・水・炭素循環などを含む分野横断的な研究を開始している．

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