速水 洋子 (はやみ ようこ)

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所属部門:統合地域研究研究部門

職  名:教授

専門分野:東南アジア、地域研究、文化人類学、ジェンダー、エスニシティ、宗教

E-Mail:yhayami [at] cseas.kyoto-u.ac.jp

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研究関心:

  1. 東南アジア大陸少数民族の宗教実践
  2. 東南アジアにおけるケアの社会基盤、特に高齢者をめぐって

研究概要:

    北タイとミャンマーのカレン州という国境を挟んだ両側での長年の調査の一つの成果として、この跨境地域におけるカレン民族の宗教実践について、現在も活躍する仏教聖者の、国境の両側での活動を追ってきた。従来、同地域の少数民族のこうした宗教運動は、仏教プロパーとしてよりも、低地国家への抵抗として理解されてきた。これに対して、現在も進行中のこうした運動が、政治的な文脈と不可分ではありつつも、実践者の視点からみれば、低地の政治権力に抵抗したり服従するという論理とは別の力に連なろうとする実践であることを、寄進と帰依という二つの関わり方を通じて分析した。国家単位の制度仏教からのみとらえた仏教実践では不明となる実践の様態をとらえることで、宗教そのものを再考する試みであった。(東南アジア研究掲載論文)
    カレンの宗教をめぐって準備中の今一つの論稿は、ミャンマーを中心とする少数民族へのキリスト教布教の歴史的過程において、初期のカレン伝道師の役割に注目したものである。初期キリスト教宣教は、近代合理主義が宣教の地にもたらされる単純な過程ではなく、現地のエージェンシーによって、宣教師の思惑も超えた展開をもみせてきたことを示す。論旨としては完成しているが、カレン語の文書を読み込んで加味して完成させる予定である。(台湾にて発表)
     最終年度を迎えた「東南アジアにおけるケアの社会基盤」(科研基盤A)では、シンガポール、インドネシア、ベトナム、タイ、ラオス、フィリピンから制度の実態や、施設や家族の介護実践、そしてケアという概念自体を現地で見直す研究成果が集まりつつある。自身の調査は本科研では山地に限定して実施しており、ケアや介護をめぐる現地概念の展開に注目している。プロジェクト全体のカバー領域が広いため、成果は、論点をフォーカスした論集とするよりは、東南アジアでケアを考える読み物として編集し、いくつかの論点については、各々特集号などの形で発表する準備を進めている。

著  書:

著者名 タイトル 年月
速水洋子・西真如・
木村周平(共同編著)
『人間圏の再構築:熱帯社会の潜在力』(講座生存基盤第三巻) 2012
京都大学学術出版会
速水洋子・小泉順子・
Ratana Tosakul・
Chalidaporn Songsamphan共同編著
2012 The Family in Flux in Southeast Asia: Institution, Ideology and Practice 2012
Silkworm Press and Kyoto University Press
速水洋子 差異とつながりの民族誌 北タイ山地カレン社会の民族とジェンダー 2009
世界思想社

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論  文:

著者名 タイトル 年月
速水洋子 「仏塔建立と聖者のカリスマ-タイ・ミャンマー国境域における宗教運動」 2015
『東南アジア研究』53-1,68-99
Hayami, Yoko 書評:Hjorleifur Jonsson. Slow Anthropology: Negotiating Difference with the Iu Mien.  
The Asia-Pacific Journal of Anthropology.
速水洋子 “Pagodas and Prophets:
Contesting Sacred Space and Power among Buddhist Karen in Karen State”
2011
Journal of Asian Studies 70:4:1083-1105.
速水洋子 序 親子から生のつながりを問い直す 
≪特集≫親子のつながり―人類学における親族/家族研究再考
2011
文化人類学 75:4:483-493.
速水洋子 Introduction: Redefining Otherness from Northern Thailand:
Notes Towards Debating Multiculturalism in the Region
2007
東南アジア研究 44(3):250-274.

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研究プロジェクト :

研究プロジェクト名
[助成機関]
研究代表者 期間
東南アジアにおけるケアの社会基盤:<つながり>に基づく実践の動態に関する研究
基盤研究(A)
速水 洋子 2013 - 2015
研究概要
 東南アジアにおいてケアがいかなる社会基盤をもって担われているか、<つながり>に注目し明らかにする。先進国中心の議論において社会保障制度が遅れた東南アジアは参照すべき対象とされてこなかった。公的制度は遅れる一方で私的領域の囲い込みが必ずしもみられない東南アジア社会において、「公私」あるいは「官民私協」領域の諸前提を取り払い、ケアがいかに社会に担われ実践されているかを問う。同地域でも高齢化や顕著な人 [ Read More ]
コミュニティーで支える高齢者ヘルスケアー・デザインー国際地域比較研究—
基盤研究(A)
松林 公蔵 2011 - 2014
研究概要
 人口の高齢化はグローバルな現象であり、アジアでは急速に、アフリカでも緩やかに進行しています。高齢者の安心・安寧にとって、最重要な課題はコミュニティーにおける健康増進とケアです。本研究では、75歳以上の後期高齢者が約3割と「高齢者の高齢化」が著しい高知県土佐町を基点として、東南アジアで高齢化のスピードが速く高齢者保険制度の導入を計画しているタイ、伝統的な家族・親族、地域共同体を中心とするヘルスケア [ Read More ]

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