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第15回東アジア勉強会
2014/04/19 @ 1:30 PM - 6:30 PM
イベント ナビゲーション
オープンな会ですので、みなさまのご参加をお待ちしております。
尚、場所等はHPでも確認できます。
https://sites.google.com/site/dongyamianqianghui/
日時:2014年4月19日(土)
場所:
京都大学 総合研究2号館 4階 第一講義室(AA401)
会場(京都大学吉田キャンパス・百万遍キャンパス)までの道のりは、以下のアクセス・マップをご覧下さい。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access
キャンパスマップ
(総合研究2号館は、この地図では34番です。)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
プログラム:
13:30 開場
14:00 発表:木下 光弘(滋賀県立大学大学院)
「モンゴル族指導者ウランフの失脚と復活」
15:00 討論
16:00 発表:兼重 努(滋賀医科大学)
「地方行政区画と民族文化資源ー西南中国トン族の事例からー」
17:00 討論
18:00 終了
研究会終了後(18:30~)、懇親会をおこないます。こちらもご参加ください。
発表
木下 光弘(滋賀県立大学大学院)
●タイトル
「モンゴル族指導者ウランフの失脚と復活」
●要旨
モンゴル族出身の指導者であるウランフ(烏蘭夫)が、文化大革命による失脚から政治的立場を復活させる背景について述べる。
早くから漢人とともに社会主義運動に参加したウランフは、中国共産党の意に沿った形で内モンゴルの統一を実現し、内モンゴル自治区における最高権力者として君臨する。ところが、文化大革命が始まると真っ先に批判の対象となり、すべての役職をはく奪され失脚することとなる。
ところが文革による混乱が終わらぬ1973年、ウランフの中央での政治的立場が回復する。これには1971年に発生した林彪事件が深く関わっている。さらに、当時ウランフの「復活」に関わった人物によれば、ウランフがモンゴル族であったことが、復活理由の一つであるようだ。では、なぜこの時期にモンゴル族指導者が必要とされたのであろうか。
まず考えられることは、様々な冤罪事件によって文革中の内モンゴルが混乱状態であったということが挙げられる。また、中国の軍事機密にも精通していたであろう林彪がモンゴル人民共和国で墜落死したことで、中モ関係の重要性が高まっていたことも間違いない。このように、ウランフが「復活」した時代は確かに有力なモンゴル族指導者が求められる事情が、存在していた。
そのうえ、内モンゴルの混乱もモンゴル人民共和国との関係も、中国の安全保障問題に直結している問題でもある。当時ソ連の衛星国であったモンゴル人民共和国には多数のソ連軍が駐屯しており、さらにモンゴル人民共和国とはおよそ4000㎞にもおよぶ国境線を有している。1969年、中ソの軍事衝突が発生して間もないこの時期、中国にとってこの内モンゴルの混乱は、防衛上の危機となった。
このようにウランフ「復活」の背景には、林彪事件と、それに関わる中国・モンゴル問題、中国の安全保障問題など深く関わっていることを本発表では明らかにしたいと考えている。
発表
兼重 努(滋賀医科大学)
●タイトル
「地方行政区画と民族文化資源ー西南中国トン族の事例からー」
●要旨
漢民族と55の少数民族から構成される多民族国家である中華人民共和国においては、同一民族集団が複数の省・自治区(地方行政区画)を跨いで居住する場合が少なくない。現行の地方行政制度は省・自治区を頂点とする縦割りシステムをとるため、同一民族であっても所属する省・自治区が異なれば、互いに別個の指揮系統に属している。
近年、ある地方行政区画を代表する地域文化資源として、特定の少数民族の文化が強調されることも少なくない。さらには観光開発や無形文化遺産登録申請などの局面において特定の民族文化をめぐって、地方行政区画の間で競合関係も生じるようになっている。
本発表では貴州、湖南、広西の三省・自治区に跨って分布するトン族を対象に、民族文化資源をめぐって、省・自治区レベル、あるいはそれより下位の地方行政区画の間で生じている①観光利用②無形文化遺産登録申請③商標登録申請における競合関係の事例をもとに、トン族の文化資源に関連する地方行政区画のせめぎあいの様相を明らかにするとともに、こうしたせめぎあいによって、民族文化がいかに地域文化資源となっていくのかについて論じてみたい。
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連絡先:佐藤 若菜(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程)
Email: w-sato at asafas.kyoto-u.ac.jp