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東南アジア学会関西例会4月例会 4月19日

2014/04/19 @ 1:00 PM - 6:15 PM

4月19日(土)に行われます東南アジア学会関西例会のご案内です。
オープンな研究会ですので自由にご参加ください。事前登録等の手続きは必要ありません。

日時: 2014年4月19日(土)13:00~18:15(12:30開場)

場所:京都大学総合研究2号館4階カンファレンス・ルーム(AA465)
(百万遍のキャンパスです、会場地図参照)

URL: http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access

【内容】
1:13時~:キーラン・アレクサンダー
2:14時45分~:中村昇平
3:16時30分~:小西鉄

【発表者】キーラン・アレクサンダー
【タイトル】Christian Evangelism and the Creation of a Thai Ethnology(キリスト教布教とタイ民族学の形成)
【所属】京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程
【要旨】
 本論文では、19世紀後半から20世紀のシャムとビルマにおける「民族」と「人種」が社会的構築物であることを明らかにし、さらに、誰がどのような目的のために、そのような「民族」と「人種」を創出したのかについて考察をおこなう。 本論では、タイ民族論が創出された重要な契機が、タイ-ビルマ国境およびその周辺地域において、アメリカ長老派教会・海外伝道部(Board of Foreign Missions, Presbyterian Church in the U.S.A.)のラオス派遣団とアメリカ洗礼派(バプテスト)教会(AmericanBaptist Burma Mission)のビルマ派遣団の、ケントゥンの布教領域をめぐる争奪戦の結果であったことを指摘する。19世紀の終わりから20世紀の初期にかけ、現在の北タイにある長老派教会のラオス派遣団の一人である宣教師ウィリアム・クリフトン・ドッド(William Clifton Dodd)は、上ビルマ・ケントゥンの人々がタイ民族であり、ラオス派遣団の布教領域にあったことを証明しようとした。こうした背景をきっかけに、ウィリアム・クリフトン・ドッドは、1923年に『タイ民族:中国人の兄』(The Tai Race: Elder Brother of the Chinese、以下The Tai Race)を著した。ドッドの調査は、布教の正当性を証明するためのものであった。本論文は最後に、1930年代にタイの政府が学校教育においてThe Tai Raceを採用したことをきっかけに、同著がどのようにしてタイのナショナル・アイデンティティー形成における重要な文書となったかについて明らかにする。
 本論文では、ウィリアム・クリフトン・ドッドの死後出版されたThe Tai Race、および宣教師による通信文書などの一次資料を用いた。これらの資料を用いることにより、長老派教会と洗礼派教会が布教をおこなう際、当該地域の人々をそれぞれ自派に都合の良いように識別し、その成果がのちのタイ民族学に反映されていった経緯を明らかにした。

【発表者】中村昇平
【タイトル】大規模エスニック組織にみられる多元的な集団帰属意識―インドネシア、ジャカルタにおけるブタウィ・エスニシティの大衆組織から
【所属】京都大学文学研究科社会学専修博士後期課程
【要旨】
ジャカルタ先住の民族集団とされジャカルタ大都市圏に500万の人口を抱える「ブタウィ」の名を掲げ、下層住民に治安と職を提供することを目的とした社会組織として2001年に発足したブタウィ統一フォーラム(FBR: Forum Betawi Rempug)は、その後急速に勢力を伸ばし現在では170万の登録成員を抱える。FBRはその規模と活動の性格から、権威主義体制崩壊後の民主化と地方分権化の文脈において多方面から注目を集めてきた。しかし先行研究の多くはFBRを一枚岩的に捉える傾向が強く、そのため成立の経緯や動員原理、および組織構成などが一元的にしか理解されてこなかった。本発表では、ジャカルタ大都市圏全域を基盤とした一般的なエスニシティ意識とより小規模な地域を基礎とした帰属意識との重層性を前提とした分析を行うことで、組織の機構的側面に関する多面的な理解を目指す。さらに、国家レベルにおける福祉行政が事実上機能し得ない状況においてFBRや類似の社会組織が国家の社会福祉機能を補完することで大衆の生活世界の拡充に寄与し、新しい社会秩序の生成に貢献する可能性についても言及したい。

【発表者】小西鉄
【タイトル】インドネシア財閥バクリグループによる債務処理戦略―政治権力の私的利用と英国上場石炭企業ブミ社の創設―
【所属】京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程
【要旨】
本研究は、天然資源を中心にグローバル化するインドネシアビジネスによる石炭共同事業ブミ社の事例を通して、旧スハルト権威主義体制下の寡頭制の中心的アクターの債務処理戦略を明らかにする。土着系財閥バクリグループは創業者の長男アブリザル・バクリを通して政財界と密接に結びつき、鉄鋼などでファミリービジネスを展開してきた。バクリグループは98年の危機ではファミリー所有を維持しつつ、プロフェッショナル経営の導入と国際資本からの融資によって19.8億ドルの債務を処理し、アブリザルが入閣した2004年以降のユドヨノ政権期には事業再編と政治的便宜によってビジネス再起を果たした。しかし、2008年のグローバル危機で債務は273.8億ドルにまで膨れた。連立与党ゴルカル党党首として強い政治的影響力を確保したアブリザルがバクリの債務処理のために金融当局へ働きかけて資本増強条件に関する規制を緩和したが、バクリは資本増強に失敗し債務再編は頓挫しつつあった。そこでバクリのプロフェッショナル経営陣は新興国での資源需要の高まりを背景に、2010年に石炭資産を担保にして英国財閥ロスチャイルド家との共同事業ブミ社を創設し、規制の厳格な国際資本市場に打って出た。ファミリーのずさんな財務で国際市場での信頼を失ったが、バクリは債務処理のための資金を獲得したうえでブミ社から撤退したのである。

 

●例会終了後には懇親会も予定しております。こちらもぜひご参加ください。
●関西例会では今後の例会の報告者を募集しています。報告を希望される方は、関西例会連絡係りの田崎(tazaki[at]asafas.kyoto-u.ac.jp)までお願い致します。また以下関西例会のホームページへのリンクです。こちらもご活用ください。
https://sites.google.com/site/kansaireikaitounanajia/li-huinoo-zhirase

●東南アジア学会関西例会委員
片岡樹、岡本正明、池田一人、田崎郁子

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日付:
2014/04/19
時間:
1:00 PM - 6:15 PM
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