イベントを読み込み中

« すべてのイベント

  • このイベントは終了しました。

第1回「ゾミア研究会」

2015/02/24 @ 4:00 PM - 5:30 PM

このたび、京都大学アジア研究教育ユニットの支援を受け、「ゾミア研究会」を立ち上げました。いうまでもなく、「ゾミア」とはWillem van Schendelの造語で、その後、James C. Scottが近著The Art Of Not Being Governedで広く世に知られるようになったもので、中国雲南省・貴州省から東南アジア大陸部の北を通り、インド北東部やバングラデシュのチッタゴン丘陵までの山岳地帯一帯に棲む少数民族のことです。
 「ゾミア研究会」は、ゾミアの生態、政治、経済、社会、文化など、あらゆる側面を総合的に研究しようという目的で、かつ東アジア(中国)、東南アジア、南アジアを通地域的に研究しようというものです。

 研究会は、東南アジア研究所、大学院アジア・アフリカ地域研究研究科、地域情報統合センターの有志(敬称略で、河野泰之、速水洋子、竹田晋也、片岡樹、柳澤雅之、ネイト、小島敬裕、今村真央、藤田幸一)を中心に立ち上げましたが、どなたでも参加できるオープンな研究会にしたいと考えております。

 下記のように、年度内には2回の研究会を開催いたしますので、どうぞ奮ってご参加ください。

日 時:2015年2月24日(火)14:00-17:30

会 場:稲盛財団記念館小会議室Ⅰ

プログラム
  14:00~14:05 開会(趣旨説明)
  14:05~15:35 久保忠行(立命館大学)「現代のゾミア? ―カヤー(カレンニー)世界の人の移動と民族の動態―」
  15:35~15:45 休憩
  15:45~17:15 今村真央(京都大学東南アジア研究所)「カチンとキリスト
          教:プロテスタンティズム宣教運動の言語観と組織力」

発表要旨
久保報告:
本報告では、ジェームズ・スコットの『ゾミア』でもしばしばとりあげられているビルマのカヤー世界の人の移動と民族の動態から、現代のゾミア的な世界の一端について報告する。まず本報告では、越境する人びとのなかでも難民としてタイ側へ到着する人びとの経路や方法から、国家をかわす術について検討する。
次に難民キャンプを中心として波及しつつある「カレンニー・ナショナリズム」の変遷から、ビルマの少数民族の運動とその位置づけを通時的に紹介する。カレンニーの運動は、マジョリティであるビルマ族への対抗的なものとしてのみならず、ときにビルマ(ミャンマー)・ナショナリズムとの親和性をもつ。これらの事例をとおして、スコットが指摘するゾミア的な世界をいかに現代的な文脈に再配置するのかを考える。

今村報告:
本報告では、東南アジアの山地でキリスト教(とくにプロテスタンティズム)がなぜ広まるか、ミャンマー北部カチンの事例を通して考察する。およそ過去百年の間、カチン人の圧倒的大部分がキリスト教徒になった。本報告では、この宣教と改宗の歴史を現地語主義(ヴァナキュラリズム)と教会の長距離ネットワークという二つの視点から分析する。まず、ジンポー語への聖書の翻訳から始まるジンポー語での出版史を辿り、ジンポー語がカチン語として確立されていく過程を確認する。次に、バプティスト教会組織の会員の変遷を辿ることによって、大規模なキリスト教への改宗を英領植民地期ではなく、独立後の内戦期に位置付ける。プロテスタント教会の言語観と組織力を土台に、カチン人が自らを一集団として再編成する過程を「カチン・ナショナリズム」として考察する。

詳細

日付:
2015/02/24
時間:
4:00 PM - 5:30 PM
イベントカテゴリー:
イベント タグ:

主催者

藤田幸一