研究代表者:林 泰一(京都大学・防災研究所)
共同研究者:
安藤 和雄(京都大学・東南アジア研究所)、山根 悠介(常葉学園大学・教育学部)、橋爪 真弘(長崎大学・熱帯医学研究所)、村田 文絵(高知大学・教育研究部)
実施期間:2011-2012年
研究概要:
気象・気候は、農業生産や大気・水質汚染など、幅広く人間生活に影響を与える。特に、洪水やサイクロン(熱帯性低気圧)などの気象災害は、人間活動に被害を与える一方で、降水を通した水供給の立場からは、重要な現象でもある。ここでは、発展途上国のバングラデシュの農村開発・農業生産や感染症を例にとって、人間活動に対する気象・気候因子の関連性を調査研究し、その定量的な評価を行う。
詳細:
本研究の目的は、人間生活に対する気象・気候要素の影響を評価し、 将来の予測・警戒に繋げることである。これまでに研究実績のあるバングラデシュでの農村開発・農業生産、感染症をモデルケースとして、気象、気候因子との関係を見出し。熱帯の他地域への応用や、 農業・地域開発などへの応用など、幅広いシーズを開拓する。これまでの気象水文及び疫病データを統計的な解析を駆使して、 疫病への気象・気候要素の影響を明らかにする。そして、 気温、湿度、日照など気象要素について日変化、季節変化、年々変化などの様々な時間スケールで先行的な指標となりうるキーパラメターを抽出し、人間活動の障害予測に繋げる。また、数値予報に基づく確率的な気象予測やより細かな地域対策に広げる方法を探る。一方で、 降雨レーダーや人工衛星などによるリアルタイムデータを活用した、 短期的な対策の向上についても検討する。
本研究では、自然環境、特に気象環境が人間活動にどのように影響するかを気温や雨量などの長期間の観測を基礎として、感染症の発生流行への関係を定量的に評価することは将来の感染症流行の軽減、モンスーン(雨期)の開始期や停止期の予測の可能性を探ることは、将来のバングラデシュの農業生産の増進に繋がる。