研究代表者:小座野 八光(愛知県立大学・外国語学部/国際文化研究科)
共同研究者:加納 啓良(京都大学・東南アジア研究所)
水野 広祐(京都大学・東南アジア研究所)
遠藤 尚(高知大学・教育学部)
実施期間:2011-2012年
研究概要:
インドネシア中部ジャワ州旧チョマル郡の農村において、主として社会経済史的な方法論に基づき、本申請者を含む4 人の研究者によるフィールド調査を行う予定である。研究の分担は以下のとおりである。小座野八光:村落行政と農地所有形態の研究、水野広祐(京都大学東南アジア研究所):村落部における生存基盤の研究、加納啓良(京都大学東南アジア研究所):農業発展と階層構造の研究、遠藤尚(高知大学教育学部):空間利用と地域形成の研究
詳細:
20世紀初頭に中部ジャワチョマル地方においてオランダ当局が実施した、いわゆるVan Mol 調査により収集された膨大な量の農家世帯に関するデータと、1990年に今回のメンバーの一部(加納、水野両氏)によって実施された農家経済調査の結果を基礎として、同一地域における村落社会調査を実施することを企図している。また、これと並行して、同地域に関する地方の文書資料を再度精査することにより、人口、農業生産、森林減少、土地利用、水利用、河川改修、疫病、自然災害の各項目について、19世紀初頭以降の2世紀に渡って検証する。そのうえで、1998年のスハルト政権崩壊後の期間の農村社会の変化を、民主化、地方分権、貿易自由化、市場化の各影響に留意して検討する。
Van Mol 調査は他にまったく例を見ない極めて詳細なものであったが、資料収集にのみ止まり、有効な分析をまったく欠いている。この調査結果を効果的に活用するべく1990年に行われた追跡調査により、同地域の20世紀を通じての変動を正確に把握することが可能となり、その成果は日本、インドネシア両国で公刊されている。今回の調査は、この1990年調査をさらに拡大し充実するためのものである。今回の調査・研究の結果、ジャワ農村社会の2世紀に渡る変容プロセスが正確に確認されることが期待される。