「東南アジアにおける持続型生存基盤研究」は2011年から開始された「ライフとグリーンを基軸とする持続型社会発展研究のアジア展開」という文部科学省の特別経費による国際的に卓越した教育研究拠点の充実を目指した事業です。
現在のアンバランスな政治・経済のグローバル化と地球環境問題を克服するために、東南アジアの特性に応じて蓄積された「地域の知」を活用した研究教育を展開し、持続型生存基盤を、東アジア学術共同体構想を支える理念として強化することを目指しています。
そのために、具体的には以下の研究を推進し、国際的な学術ネットワークの構築を進めます。
- 地域社会ネットワークの公共資産化をカギ概念として、社会関係資本・社会基盤強化と超国家的地域再編に焦点を当てて、多元共生社会研究を推進する。
- 熱帯バイオマスのグローバル資源化をカギ概念として、熱帯バイオマス社会と地球益のグローカル連環に焦点を当ててバイオマス社会研究を推進する。
- 日本のリーダーシップのもと、東南アジアや東アジアとの学術コミュニティの連携を強化するために、持続型生存基盤研究セミナーの現地開催、大学院教育推進、研究成果国際共有化システムの開発・整備を進め、東南アジア研究のアジア・コンソーシアムの設立に取り組む。
現在、東南アジア研究の重要性が格段に増しています。東南アジアは、アセアンとして今や6億近くの人口を擁する一大経済圏となり、東アジアの安定と発展を実現するための重要な政治経済アクターとなっています。この地域は熱帯に位置し、旺盛な太陽エネルギー供給に支えられた豊富なバイオマス資源を有しており、化石燃料に代わる新たなエネルギー源の所在地としても大きな期待が寄せられています。
それゆえ東南アジア地域がもつ政治的、経済的、生態環境的可能性に着目して、多文化共生的で、環境調和型、資源・エネルギー節約型の持続型社会発展の径路を構想してゆくことが、研究所の責務であると考えています。アセアン諸国の大学・研究機関等と緊密な連携協力関係を保ちながら、東南アジアに潜在する「地域の知」を「未来の世界の知」へと開花させていきます。