cseas nl75 特集3 年次報告会 CIRAS

共同利用・共同研究拠点
「地域情報資源の共有化と相関型地域研究の推進拠点」

東南アジア地域研究研究所付属CIRASセンターは、共同利用・共同研究拠点「地域情報資源の共有化と相関型地域研究の推進拠点」として、地域研究者コミュニティの協力参加のもと、世界の今日的課題に地域横断的に取り組む研究プロジェクトである「相関地域研究」、「地域情報学」、「災害対応の地域研究」を実施している。これらの研究プロジェクトの実施にあたっては、広い基盤に立った研究の進展をはかるため、公募による共同研究や公開シンポジウム・公開ワークショップなど学内外に広く開かれた研究システムを導入している。

 2019年2月16日(土)に2018年度共同利用・共同研究報告会及び共同研究ワークショップ「地域研究の新たな冒険-変動する社会を歴史の中で読み解く」を開催した。 CIRASセンターでは3つのプロジェクトのもとで、国内外の地域研究機関と連携して共同利用・共同研究を推進してきた。2018年度は各プロジェクトのもとに複合共同研究ユニットと個別研究ユニットをツリー上に配置し、研究対象となる地域や分野を超えた共同研究を実施した。報告会では今年度で終了となる12課題についての報告が行われた。(図CIRASセンター共同利用共同研究一覧)

 引き続き、CIRASセンター共同研究ワークショップ「地域研究の新たな冒険-変動する社会を歴史の中で読み解く」が行われた。ワークショップの概要は下記の通り。

 CIRASセンターが主宰するワークショップ「地域研究の新たな冒険―変動する社会を歴史の中で読み解く」を2019年2月16日に開催した。近年の学術行政の中では、教育・研究プログラムが整備され短期間で効率的に国際的な基準をクリアした研究成果を継続的に出し続けることのできる体制が整えられてきた。その一方で、いまだ標準化が困難で、時間のかかる手作業によってはじめて生み出される研究成果もまた存在する。中でも地域研究という営みは、対象とする地域社会の多様性や歴史を反映し、研究プロセスの標準化は特にむつかしい分野かもしれない。本ワークショップでは、手間暇はかかるものの、地域研究ならではの研究成果の出し方を考えることを大きなテーマとしながら、今年度は、対象とする地域の長期の歴史をどのように地域研究の現代的な課題と関連づけているのかについて考えた。いずれの発表でも、めまぐるしく変わる現代的課題が、実は地域の歴史の中で繰り返し現れる現象の一端であることや、大きな歴史的イベントも小さな事象の積み重ねの中で理解できる点などが議論され、大変興味深かった。次年度以降のワークショップにもご期待ください。

 

 

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