cseas nl75 新任スタッフ紹介

小林 篤史
KOBAYASHI Atsushi

グローバル生存基盤研究部門・助教
博士(地域研究、京都大学)
専門分野は近代東南アジア経済史

 2019年度4月より助教を務めております。私は2014年度に京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科にて博士号(地域研究)を取得した後、ポスドクや他大学の講師を経て、5年ぶりに京都大学に戻りました。大学院生の時から一貫して、近代東南アジア経済史を専門分野として研究を進めてきました。この分野では、19世紀から20世紀前半の東南アジア地域は、西洋植民地体制の下、一次産品生産に特化することで世界経済に深く統合されたという側面が強調されてきました。これに対して私の研究は、「東南アジア域内交易」というローカルな貿易に焦点を当てることで、植民地体制という外挿された地域秩序に収まらない、現地の商業活動や地域内分業のダイナミックな発展を捉えることを試みてきました。基本的な研究方法として、東南アジア各国やその植民地宗主国であったヨーロッパ諸国の資料館を訪れ、そこで集めた一次資料の情報を整理・分析することに注力しています。近年では、近代アジアの社会経済の発展を、気象環境の変動と絡めて分析する研究プロジェクト(科研基盤S「近代アジアにおける水圏と社会経済」)に参加することで、研究の視野に環境という要素を取り入れることに挑戦しています。またインド洋交易圏の経済史研究プロジェクト(科研基盤B「インド洋交易圏の統計的研究」)に参加することで、南アジア・東南アジア間の歴史的な経済関係や、世界貿易と地域貿易の発展の有機的な関係を解明することに取り組んでいます。現地のリアリティから研究テーマを発見するという本研究所のユニークな蓄積から多くを学び、経済史研究にも反映させていければと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。